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「すみません。思いだしたもので・・・。俊冬殿、その忍びって、伊賀の忍びで、名をというのでは?」
「ほう・・・。なれば、この暗殺劇も、後世に伝わっているということか?」
俊冬は、副長のシャツを拭きおえ、こちらへを向ける。
かれだけではない。
安全期 全員が、注目している。
「いえ、伝わっているのは、新撰組が上様の警固をしばらくの間うけもつ、ということのみです。その間になにかあれば、それこそ「池田屋」とおなじくらいドラマチック、いえ、巷談や草双紙の題材になるくらいの勢いで、伝わっているはずです」
そこで、一息つく。
その忍びのことをしったのは、偶然である。
ある漫画をよみたくなった。具体的には、野球漫画である。主人公やチームメイトたちの高校での活躍にはじまり、プロ野球へと・・・。かなりの巻数である。通常なら、webで古本を大人買いし、一気によんでソッコーうる。だが、あまりの巻数である。NETカフェにこもってよんでしまおう、と思いついた。そこで、お目当ての漫画をみつけるまえに、その漫画がにとまったわけである。
沢村甚三郎、最後の忍びといわれた伊賀者の物語。
巻数は、六冊程度である。が、あまりのぶっとびのストーリーに、いまでもはっきり覚えている。
というわけで、その漫画で興味をもち、ウイキペディアをみた。
実在の人物である。伊賀の忍びで、伊賀国内に無足人として生活していた。
無足人とは、俸禄のない者のことである。 伊賀の忍びといえば、などが有名である。服部半蔵は、徳川家に仕えている。江戸城にある半蔵門は、その警固を任された服部父子に由来するともいわれている。半蔵は、代々受け継ぐ名である。
沢村自身は、服部家とはまったく縁はない。
兎に角、かれは、藤堂高猷の依頼で、ペリー艦隊の様子を探ったのである。
いったいなにゆえ、藤堂が探らせたのか?ウイキペディアには記載されていなかったが、沢村は、潜入し、探り、なにゆえか、乗務員から煙草や書類や蝋燭やパンをもらっている。
漫画は、それなりにド派手に暴れ、忍術なんかもいっぱいでてきてかっこよかった。
沢村は、ペリー艦隊の任務の際には、五十代後半という設定であったかと思う。
さらに、その沢村の相棒が藤堂平助で、試衛館のメンバーもでてくる。ラスボスとして坂本が登場しているし、吉田松陰や勝海舟などもでてくる。
沢村について、しっていることを述べる。そして、俊冬が調べてきたことを補足する。
「おいおい、忍びって、誠にいるのか?」
「お伽噺じゃあるまいに」
永倉と原田のつぶやきに、ふいてしまう。
その漫画のなかでも、試衛館メンバーはおなじようなことをいっていた。
「ちゃんといますよ。おれたちののまえにも、ちゃんといるじゃないですか?俊冬殿と俊春殿こそ、凄腕の忍びってやつです。もしかして、さきほどの副長の、「なにゆえ、やってるかってこともな」というのは、沢村さんにかかわることなんですか?お二方は、最後の忍びに対するため、鍛錬をしている、と?」
傷だらけになるほどする鍛錬の事情がわかれば、なるほどと納得できる。が、それをみすごすことができるかといえば、それはまたちがう話である。
「主計・・・」
「その通り。忍びには忍び。朝廷のが相対する。獲物は、だれにも譲りませぬ。たとえ兄上であろうと・・・」
俊冬が口をひらきかけたところに、俊春がかぶせてくる。しかも、平素とはちがい、わざと強気モードを醸しだしてくる。
俊春、演技だってバレてるよ・・・。
だが、これで、だれもなにもいえなくなった。
「兎に角、警戒をおこたるな。いいな、おめぇら」
「承知」
副長も、なにかをいいかけ、やめた。
副長がシメても、島田はまだもぞもぞと飯を喰っている。には、幕府の 伊賀の忍びといえば、
こうなったら、意地でも勝たねば・・・。
決意をあらたに・・・。
「なにを賭ける、土方さん、俊冬?」
「そうだな。一人につき、寿司一貫ってのはどうだ?」
「われらは、賄い人兼小者ゆえ、所持金がなく・・・。蕎麦を、つくりましょう」
避孕 ビミョーにせこくないか?
「へー、めずらしい。いいのか、土方さん?負けず嫌いのあんたが、主計に賭けるって?」
「馬鹿いえ、新八。賭けってのはな、どうなるかわからんから面白れぇんだ。みながみな、八郎に賭けちまったら、面白くもなんともねぇ。此度は、おれと俊冬、俊春が犠牲になり、負けてやろうってんだ。そのほうが、盛り上がるだろうがよ、ええ?」
え?それって、矛盾してませんか、副長?
「副長のおっしゃるとおりでございます。なあに、みなさまも、寿司と蕎麦が喰えるのです。みなさまの幸せなをみることができるのでしたら、われら兄弟、いくらでも犠牲になりましょうぞ」
・・・。
おれは、崇高な犠牲の対象になっているのか?「主計君は、誠に好かれているのですね」
笑顔の伊庭が、しみじみといった感じでいってくる。
もしもマジでいってくれてるのだとしたら、遊撃隊の職場環境は、地獄レベルでひどいのかもしれない。
「そうなんだよな。好かれまくってて、誠にうらやましいかぎり。みな、ほっとけないんだ」
「新八さんも、でしょう?」
「おうともよ。さぁ、おれも、だれかとやりたいからな。さっさとはじめようぜ」
永倉の言葉が、うれしいのかどうかはビミョーだが、おれの稽古だけで時間をとるのも心苦しい。
それに、双子に託していることもある。
「はじめっ」
永倉の号令以下、正眼に構える。もちろん、伊庭も正眼。
さすがに、癖のないきれいな構え。
さわやかなイケメンのわりには、まったくスキのない威圧的な構え。も、これまでとはうってかわっている。
素敵だが、小動物を狩る野生の獣っぽく豹変している。
伊庭は、が得意であったと、永倉と斎藤が教えてくれた。
が、それは、七、八年ほどまえの話である。
いまもまだ、そうなのか?
どうする?仕掛けて様子をみるか・・・。
とはいえ、これだけスキがなければ、どこをどう、どのように仕掛ければいいのかすらわからない。
下手に動けば、逆にスキをつかれそうだ。
なにせ、腕がちがいすぎる。が、おれのそれに合ったまままったく動かない。本来ならうれしい、いやいや、はずかしいかぎりだが、伊庭くらいになると、眼球の動きはもちろん、こちらの全身を観察できるだろう。
つまり、こちらがかれのどこを狙うか、が、おれのそれに合ったまままったく動かない。本来ならうれしい、いやいや、はずかしいかぎりだが、伊庭くらいになると、眼球の動きはもちろん、こちらの全身を観察できるだろう。
つまり、こちらがかれのどこを狙うか、や手足の動きを、より顕著にしてしまう。
だーっもうっ!どうせ、こてんぱんにやられるんだ。受け身でこてんぱんにやられるよりかは、攻めた上でってほうが、まだマシであろう。
いよいよもって、覚悟を決める。 かれの右掌のあたりへ、さりげなくをはしらせる。同時に、剣先をわずかに上へあげ、そのまま踏み込む。
さすがである。同時に反応してきた。かまわず、腕を思いっきり振り上げる。
伊庭は、おれのをはしらせる。同時に、剣先をわずかに上へあげ、そのまま踏み込む。
さすがである。同時に反応してきた。かまわず、腕を思いっきり振り上げる。
伊庭は、おれの「うわっ」
が、腕が上がりきるまでに、伊庭が突いてきた。この間、それこそゼロコンマ、の世界。かれの剣先の動きがかろうじてみえ、突いてくると判断し、を右へわずかにひらいて脚をつかって距離をとる。
「見事な足さばきですね。足さばきがなかったら、突けたところです」
伊庭がほめてくれた。ビミョーである。これは、剣道であって剣術ではない。「主計、よまれている。それに、小細工は通じぬ。格上の相手とやるのに、思考は邪魔であるし、小細工は無駄だ」
俊冬のアドバイスが、背にあたる。
ならいったい、どうすりゃいい?
どうせなら、こうすりゃいい、って具体的な指示がほしい・・・。
ああっくそっ!副長のいうとおり、を頼ってばかりではだめだ。
斬りあいになったときは、自分ひとり。永倉や斎藤や双子が、いつもそばにいるわけじゃない。自分の力で戦い、生き残るしかない。
「主計、視野をひろげろ」
俊春のアドバイスである。
自慢ではないが、剣道の足さばきだけはイケてると思ってる。親父から、「素振りと同様、足さばきはないがしろにするな」、と教えられたからである。ゆえに、素振りと同様練習をやった。
の局長が斬られたんだ。赤穂浪士のごとく、全員で討ち入らなかっただけまだましだ。あれは、おれのなかでは穏便にすませたつもりだ」
局長に突っ込まれ、逆切れする副長。
「局長、副長、平素はわれらに気を遣っていただいていますが、江戸城ではそういった気遣いは無用でございます。どうか、われらを犬と思っていただき、態度もぞんざいに・・・」
俊冬である。
意外懷孕|拆解坊間4大避孕謬誤 意外懷孕 勝のときと同様、新撰組が「眠り龍」と「狂い犬」をてなづけ、つかいこなしているということをしらしめる必要がある、というわけか。 いくつかの門を通る。が、いちいち案内板がたっているわけではないので、正直、なんの門なのかわからない。
「これが、桜田門だ」
濠ぞいにあるいていると、木々が生い茂るなかにひっそりと門があらわれた。俊冬が、このときだけぽつりと教えてくれる。
俊春が子どものとき、おおくの刺客を殺めた場所・・・。
なにゆえか、「桜田門外の変」よりも、そのことのほうがリアルに頭をよぎる。
あれ以来、何百回通ったであろう。俊春は、さして気にする様子もなく、あゆんでいる。
そして、大手門を通過し、本丸御殿へ・・・。いよいよ、である 江戸時代、大名たちは、決められた登城日はかなりはやい時刻に屋敷をでる。遅参は厳罰になるという以前に、拙速こそが武門の誉れだとしていたからである。
行列が大手門にいたると、まず「下馬」の立て札があり、そこで大半の供を残す。それからさらにすすむと、「下乗」の立て札が。そこで、御三家以外は駕籠からおり、徒歩で下乗橋を渡る。そこでも、ついてきている供はいなくなる。
そして、中之門を通過し、中雀門にいたると、本丸の玄関がみえる。そこで、刀番に刀を、草履もちに草履をあずけ、大名は一人、無腰で御殿へと向かう。
それ以降、たとえ御三家であっても、一人で行動しなければならない。
様々なマナーがある城への登城。幕末がどうなるかもわからぬ不安定な状態。
マナーなど、あってないようなもの。
それでも、太刀や脇差はもちこむことはできない。とを託す。
とそこへ、永井の姿が玄関先にあらわれる。
「おおっ、まいったか、近藤、土方。相馬も・・・。兼定も、まいってくれたか。おおっと、撫でたいところだが、ときがない。馬鹿ども、否、老中が雁首そろえてまっておる」
永井は、笑みをたたえて声をかけてくれる。
相棒は、その永井にぶんぶんと尻尾を振っている。
こちらから指示せずとも、愛想を振りまくタイミングとがわかっているようだ。
現代のときとはえらいちがいだ、とつくづく思う。
沢の左脚許にお座りする相棒に、二人とともにまつよう指示する。
ふんっと、鼻を鳴らす相棒。
「しっかり、局長と副長を補佐してこいよ」、といわれている気がする。
相棒の代弁者俊春と、があう。
かれが苦笑する。
たぶん、それはあっているのであろう「ささっ、これへ」
永井に急かされ、そそくさと御殿内にはいる。
城の内部は、二条城や大坂城とさしてかわらない。
「あの、。「ささっ、これへ」
永井に急かされ、そそくさと御殿内にはいる。
城の内部は、二条城や大坂城とさしてかわらない。
「あの、のごとく、馬鹿の一人や二人、脅してやればよい」
永井のジョークだろうか。そのわりには、こちらに向けられている横顔は、マジである。
久吉と沢に、全員が玄関先で得物をあずけ、馬の手綱と相棒の期になると、それもうやむや、テキトーになっている。しかも、いまは、このすぐ。
「玄蕃頭、これはまたお戯れを・・・」
「近藤、生真面目なおぬしだ。これから会う馬鹿どもの申すことが、いかに的をはずし、論外であったとしても、相手にするであろう・・・」
「いえ、玄番頭、すでに土方らに諫められております。それにしても、さようにひどいのですか」
局長は、あらためてショックを受けたようである。
「まぁ、二百五十年以上もつづき、平和の上に胡坐をかいておったのだ。ボケても仕方なし。もう諦めておる」
永井は、しみじみとつぶやく。
それを、副長も双子も静かにきいている。
「ここだ」
大広間を通りすぎ、ちいさめの部屋のまえで、永井は立ちどまり、あらためておれたちのほうに体ごと向き直る。
「俊冬と俊春が、うまくやってくれる。さぁ一戦、交えようぞ」
いうなり、うしろ掌で障子を開けた。
を感じたのか?片方の瞼が、おれの視力でみえるかみえぬほど上がる。が、すぐに下がってしまう。
くそっ!相棒っ、おまえまで関心がないのか?「でっ、はき心地はどうだ、主計?」
俊冬の冷静なまでの問い。その横で、俊春がやはりきらきらしたで、こちらをみあげている。
避孕 そこは着心地ってききませんか?」
別段、揚げ足をとるつもりはない。だけど、服の着心地を問うべきところではないのか、と純粋に思ってしまう。
「主計、ズボンは、はき心地と申すのではないのか?」
腹立たしいほど冷静に返してくる俊冬。
途端に、永倉と原田、斎藤がげらげら笑いだす。副長も、「くくくっ」と肩を震わせている。
「こいつ、このズボンってやつの下、すっぽんぽんなんだろう、なぁ俊春?」
「脱がせてやれ」
「それは、面白そうだ」
永倉、原田、斎藤が、口々に叫ぶ。同時に、原田が身軽にたちあがり、長い腕を伸ばしてくる。
「ちょっちょちょっ・・・。だって、俊春殿がナッシングって・・・」
原田の腕から逃れつつ、俊春を指さそうと・・・。
「え?いない?うわああっ!」
座っていたはずの俊春の姿がない。刹那、背後をとられ、うしろから肩に腕をまわされる。
「おぬしの問いに対する答えが、ナッシング、と申したのだ。主計、おぬしのおおいなる勘違い。おぬしのがどれだけご立派かは、「ふふふっ」だが、褌をしめねばおさまりが悪かろう?いかに「ふふふっ」、のがどれだけご立派かは、「ふふふっ」だが、褌をしめねばおさまりが悪かろう?いかに「ふふふっ」、のでも・・・」
なっ、なにいってんだ、原田?
俊春の謎アテンションにつづき、なに謎推測してるんだ?ってか、みたことがあるのかよ?
「ちょちょちょっ、下ネタです、それ。いや、そんな問題じゃない。やめてください。完璧、セクハラです」
「ハラス?なんだそりゃ?」
「いえ、永倉先生、鮭の腹身のことではありません。ってか、そこじゃないだろう、おれ?」
こんなときまで、自分で自分につっこんでしまう、ツッコミ役のおれ。
あれだけ新鮮な握りを喰ったばかりだというのに、焼いたハラスが喰いたくなる。
脂ののったそれを、そのまま頬張る。だし汁に、三つ葉を添えて茶漬けにする・・・。最高じゃないか。
あかん、そこちゃうやろ、おれ?
とうとう、本格的につっこんでしまう。
じつは、かねてからの疑問というのは・・・。
それは、洋装にしたときの下着、である。
和装だと、イコール褌が自然と想像できるし、しっくりくる。が、洋装になったら、ズボンの下が褌なのか、はたまたパンツなのか、という疑問がわく。
パンツ、といっても現代のようなボクサーパンツやブリーフ、それを合わせたボクサーブリーフ、トランクス、まさかのビキニやTバックではない。
感覚的には、この時代のアメリカの南北戦争やゴールドラッシュを描いた、戦争物やウエスタンにでてくるような、白色のだぼっとしたものである。
「グーOル」さんに尋ねてみたら、「グーOル」さんはすぐに教えてくれた。
答えは、六尺褌。ズボンの下であっても、この時代はまだ褌であった。この後、それが越中褌に変遷してゆく。軍隊でも採用され、昭和に入って戦争がおわるころまで、それがつかわれる。
現代でも、神事や医療の現場でつかわれている。T字帯も、越中褌の一種である。
だが、やはりズボンの下に褌は、というところがあった。馬にのれば、一発で皮がめくれそうだ。まぁ、馬に乗るのは将校クラスである。将校クラスの軍服には、尻の皮がめくれぬよう、軍服にちゃんと細工が施されている。
「俊春殿、おれをかつぐなんてひどいじゃないですか?マジで、ずっと悩んでたんですよ」
俊春が、おれからはなれる。
「あまりにも真剣であったので、ちょっとからかってみただけだ。まさか鵜呑みにするとは。その下、誠にナッシングなのか?」
かれは苦笑とともに、おれの下半身を指さす。
「では、あらためて「ふふふっ」を拝ませて・・・」
「ちょっ、いいかげんにセクハラ行為はやめてください、原田先生。訴えますよ。それに、「ふふふっ」てのは、なんなんです?だいたい、おれのは・・・」
原田に詰め寄りつつ、原田の体越しに相棒が起き上がっているのがみえる。
があう。
「はあー」
頭部をふりふり、おおきな溜息が、口吻からもれる。
相棒、下ネタで騒ぐ中学男子を、呆れかえってみてる女子中学生みたいな、そんな、やめてくれ・・・。
山崎を探しにいった際に、遭遇した長州の小隊。
双子は、大砲の砲弾から逃げる小隊に追いすがり、その隊長から話をきいたらしい。
もっとも、どんなききかたをしたのかは、想像もできないが。
兎に角、その隊長から、今回の戦は、指揮こそとっていないが、作戦じたいは大村からでている、とききおよんだという。
双子は、昼間にそのことを思いだした。
こっそり滞在している、かれを・・・。
そのかれに、薩摩が大坂城の、いや、幕府の金子を狙っていると教えてやったというのである。
そして、そのかえり、薩摩本隊の西郷のもとへゆき、長州がそのことをしり、憤っていると教えてやった、という。
「われらは、薩摩軍の兵士を大勢殺めましたゆえ、その詫びもかねております」
俊冬は、そうしめくくる。
ん?おかしくないか、それ?が盗みだし、輸送の途中で薩摩とかちあう時刻を想定し、それも教えたというのだから、双子も意地が悪い。
結局、薩摩も長州も徒労におわった。
長州などは、いったら人っ子一人いない、ってことになったはず。
川のにおい。さっきの騒ぎで、寒さを忘れてしまっているのか、はたまた、感覚がなくなって仙人レベルになっているのか、兎も角、嗅覚は戻っている。
で、もちろん、汚物のにおいに、川のにおいがまじってるわけで・・・。
全員が両方の脚をせかせか動かしながら、俊冬の説明をきいている。
「まったく、おめぇらはよ・・・」
説明がおわると、全員を代表し、副長がいいかける。
「「でこちんの助」を、ご覧になられたことは?」
俊冬が、副長にかぶせて問う。
「いや、名すらしらぬ。あ、さっき、大村っつってたか?」
大村について、なにか重大な話でもあるのか?をしってるのだな、主計?」
「ええ、軍師的な方ですよ・・・」
「「でこちんの助」と「でこぴん野郎」、どちらが適切か?弟は、「でこぴん野郎」と申して譲らぬ」
「さようございます。あれは、「でこぴん野郎」以外のなにものでもござらぬ。それを、兄上は「でこちんの助」などと・・・。ひどい話だ」
いや、ちょっとまて。双子、どっちもどっちだ、それ・・・。いや、それ以前に、なにゆえ、なにゆえそこまで貶める?双子は、個人的に恨みであるのか?
たしかに、「でこ」かもしれない。が、大村を語るのに、かれをしらない副長たちに「でこ」と植え付け、洗脳してしまったら、この後、万が一にも会ったり、話題になったりでもしたら、「でこちんの助」か「でこぴん野郎」としか思えない。
いや、さらにそれ以前に、大村益次郎という名すらしらぬままで、すごすことになる・・・。
大村も、たいがい気の毒だよな・・・。
「いえ、お二方、それは・・・」
「おお、みえてきましたぞ、副長。釜次郎殿が掌をふってらっしゃる」
そして、おれのことなどスルー。
この夜のミッションは、無事、終了したのであった。
「そ、そんな・・・。「豊玉」と「宗匠」を、置いてゆくと?」
「才輔、こらえてくれ。「富士山丸」は、
「さよう。おぬしは、
そもそも、かれがそれを大村にしらせたからじゃないか。
を乗せるだけで精いっぱいだ。とても、馬を乗せる余裕はねぇ」
「ならば、わたしは二頭を連れ、陸路、江戸に参ります」
「才輔っ、いいかげんにしねぇかっ」
副長と安富のやりとりを、気まずい思いでみまもっている。
元気な隊士たちは、「順動丸」に乗船するため、すでに宿を発っている。
準備がととのいしだい、さきに出航し、江戸へ向かう。
永倉や原田、島田らがいなくなると、宿はひっそりと静まり返っている。
残るおれたちも、負傷者、病人を連れ、もう間もなく宿を出発しなければならない。
「京屋忠兵衛」の人々に、お礼を述べる。
をよく思っていないとしても、宿屋の人たちは、別れを惜しみ、激励してくれる。
ちなみに、現代では、チーズを取り扱っている会社の玄関先に、「京屋忠兵衛跡 幕末期新撰組の近藤勇や土方歳三、沖田総司らの定宿であった」と記載されたプレートをみることができる。