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不思議な出来事はまるで見計らうように、次から次へと起こる。
チャポン、チャポンと川の淵で足をつける人物ーー麗は一人物思いにふけていた。
数刻前に起こった出来事をーー。
【知っておるか、後の浪士隊の話を……。】
浪士隊って何?
……芹沢鴨……新見錦……平山五郎。あの三人は神道無念流って、それに彦五郎さんをいとも簡単にのめした……
【小娘、気になるか。小指が……】
芹沢を筆頭に、試衛館を出ていく際、麗は芹沢の右手を凝視していた。
芹沢の小指がないことに驚きを覚え、凝視していたのだ。https://nouw.com/debsyking1/moral-of-the-story-dont-be-shy-38622138 https://www.deviantart.com/debsyking/status-update/--1149553328 https://www.techsite.io/p/3831084
何故、あの時……芹沢は、近藤や沖田ではなく彦五郎を指名したのか……。
浪士隊の参加話を、何故近藤に問いかけたのか……。
何故、何故と疑問ばかりが浮かんでいた。
夕暮れを知らせる鴉が鳴き、ふと地平線に浮かぶ太陽に麗は目を向けた。
「変わった男だったけど……強者だ。あの三人」
「道場やぶりの話ですか?」
「……なんでいるの」
「先程からいましたよ、みんな」
「……そっか……」
「変ですね、朝から」
右手を向けば、沖田が腰を下ろし苦笑いを浮かべながら川に再び目線を向けた。春が訪れたといっても、まだまだ川の中は冷たい。
その中で騒ぐ人物達を見れば沖田は麗とは違い暫く笑っていた。小馬鹿にしながら……。
「気合い入れろ!!男だろうが!!」
「お前が勝手に入れたんだろ!!無理やり!!」
「おっ!?小魚がいんじゃねえか!!捕れ平助!!今晩の飯だ!!」
「……聞けよ、人の話……」
川の冷たさもなんのその。
原田は川の中を泳ぐ小魚を追いかけ、藤堂は無理やり川の中に入れられたせいか、げんなりしているが……。
傍観する永倉は、「アホにしか出来ねえ技だ」と、これまた小馬鹿にしていた。
稽古も朝のうちに終わり、道場やぶりの後、ふらりと一人試衛館を出ていった麗を追いかけた四人だがその事柄を麗自身が知るよしもなかった。
「気になりますか、あの三人が」
「……はっ?」
「そんな顔してますよ、今の麗は」突然、なんの前触れもなく振られた話に麗は口を閉ざしていれば。
「気になるのは分かりますよ。私も気になりますから」
沖田が先に口を開いた。
「普通の道場やぶりなら、名誉や金のため……。でもあの人達、芹沢さんは彦五郎さんと剣を交えただけで帰ってしまった……。何が目的だったのか分かりませんから、嫌でも気になりますよ。まるで……」
「……まるで?」
「何かを見に来た、品定めに来たというか……。私にはそう見えました。それにあの側近の二人も強者でしょうね、多分。尋常ではない雰囲気が滲み出ていましたから」
総司も分かってたんだ、強者だって……
感心するように沖田を見ていれば、沖田自身は小首を傾げ。
「帰りましょうか。あっ、麗。今年の夏も見に来ましょうね……」
「……夏、ああ」
……蛍のこと
ふっと麗に笑いかけた。毎年、試衛館から少しばかり北上したこの場所。綺麗な、綺麗な川に夏になれば光を灯す蛍を眺めにやってくる。
恒例行事に少しばかり胸のざわめきも、落ち着きを取り戻し麗は原田達を置いてふらりと先を歩きはじめたのだった……。
「こいつすばしっこくて、俺をおちょくってやがる!!」
今もなお、小魚に夢中な原田一人だけを置いて……。