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山崎を探しにいった際に、遭遇した長州の小隊。
双子は、大砲の砲弾から逃げる小隊に追いすがり、その隊長から話をきいたらしい。
もっとも、どんなききかたをしたのかは、想像もできないが。
兎に角、その隊長から、今回の戦は、指揮こそとっていないが、作戦じたいは大村からでている、とききおよんだという。
双子は、昼間にそのことを思いだした。
こっそり滞在している、かれを・・・。
そのかれに、薩摩が大坂城の、いや、幕府の金子を狙っていると教えてやったというのである。
そして、そのかえり、薩摩本隊の西郷のもとへゆき、長州がそのことをしり、憤っていると教えてやった、という。
「われらは、薩摩軍の兵士を大勢殺めましたゆえ、その詫びもかねております」
俊冬は、そうしめくくる。
ん?おかしくないか、それ?が盗みだし、輸送の途中で薩摩とかちあう時刻を想定し、それも教えたというのだから、双子も意地が悪い。
結局、薩摩も長州も徒労におわった。
長州などは、いったら人っ子一人いない、ってことになったはず。
川のにおい。さっきの騒ぎで、寒さを忘れてしまっているのか、はたまた、感覚がなくなって仙人レベルになっているのか、兎も角、嗅覚は戻っている。
で、もちろん、汚物のにおいに、川のにおいがまじってるわけで・・・。
全員が両方の脚をせかせか動かしながら、俊冬の説明をきいている。
「まったく、おめぇらはよ・・・」
説明がおわると、全員を代表し、副長がいいかける。
「「でこちんの助」を、ご覧になられたことは?」
俊冬が、副長にかぶせて問う。
「いや、名すらしらぬ。あ、さっき、大村っつってたか?」
大村について、なにか重大な話でもあるのか?をしってるのだな、主計?」
「ええ、軍師的な方ですよ・・・」
「「でこちんの助」と「でこぴん野郎」、どちらが適切か?弟は、「でこぴん野郎」と申して譲らぬ」
「さようございます。あれは、「でこぴん野郎」以外のなにものでもござらぬ。それを、兄上は「でこちんの助」などと・・・。ひどい話だ」
いや、ちょっとまて。双子、どっちもどっちだ、それ・・・。いや、それ以前に、なにゆえ、なにゆえそこまで貶める?双子は、個人的に恨みであるのか?
たしかに、「でこ」かもしれない。が、大村を語るのに、かれをしらない副長たちに「でこ」と植え付け、洗脳してしまったら、この後、万が一にも会ったり、話題になったりでもしたら、「でこちんの助」か「でこぴん野郎」としか思えない。
いや、さらにそれ以前に、大村益次郎という名すらしらぬままで、すごすことになる・・・。
大村も、たいがい気の毒だよな・・・。
「いえ、お二方、それは・・・」
「おお、みえてきましたぞ、副長。釜次郎殿が掌をふってらっしゃる」
そして、おれのことなどスルー。
この夜のミッションは、無事、終了したのであった。
「そ、そんな・・・。「豊玉」と「宗匠」を、置いてゆくと?」
「才輔、こらえてくれ。「富士山丸」は、
「さよう。おぬしは、
そもそも、かれがそれを大村にしらせたからじゃないか。
を乗せるだけで精いっぱいだ。とても、馬を乗せる余裕はねぇ」
「ならば、わたしは二頭を連れ、陸路、江戸に参ります」
「才輔っ、いいかげんにしねぇかっ」
副長と安富のやりとりを、気まずい思いでみまもっている。
元気な隊士たちは、「順動丸」に乗船するため、すでに宿を発っている。
準備がととのいしだい、さきに出航し、江戸へ向かう。
永倉や原田、島田らがいなくなると、宿はひっそりと静まり返っている。
残るおれたちも、負傷者、病人を連れ、もう間もなく宿を出発しなければならない。
「京屋忠兵衛」の人々に、お礼を述べる。
をよく思っていないとしても、宿屋の人たちは、別れを惜しみ、激励してくれる。
ちなみに、現代では、チーズを取り扱っている会社の玄関先に、「京屋忠兵衛跡 幕末期新撰組の近藤勇や土方歳三、沖田総司らの定宿であった」と記載されたプレートをみることができる。