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「……何度も言いますけれど私、この羽織好きでは無いんですよ」
「なァに言ってやがる。当初は気に入って毎日着回していたじゃねェか」
呆れたように言う土方を、沖田は軽く睨み付けた。
「それは昔の事です。https://mathewanderson.anime-cosplay.com/Entry/1/ https://carinaa.blog-mmo.com/Entry/1/ https://john.ni-3.net/Entry/1/ 隊服の意味とか由来だとかは良いんですよ。ただ、これは少々目立ち過ぎでは有りませんか。コレじゃあ浪士に逃げて下さいと言っているようなモンです」
「それァそうなんだが、今はその時じゃねえんだ。心に留めておくから、それ着て堂々と市中を回って来い」
土方は沖田の肩を一つ叩くと何処かへ去っていく。
沖田も、彼に思惑があることを感じ取るなりそれ以上何も言わずに、門前で待機している隊士の元へと歩いて行った。
ふと一度だけ立ち止まると、振り返る。すると家の影にいた桜花と目が合った。
沖田は少しだけ口角を上げると、軽い会釈をする。桜花もそれに倣った。
「……さっきのは何だったんだろう」
手持ち無沙汰のために自室に戻った桜花は、御守りを天井へ翳す。試しに振ったり落としたりしても、先程の声は一切聞こえてこなかった。
「……気の所為、か」
そもそもただの布切れから声が出るなんて、そのような摩訶不思議な現象は有り得ない。そう自己完結すると、文机の引き出しから一冊の書物を取り出した。
それは先日、藤から貰ったものである。
今し方買い物から帰ってきたマサから、出掛ける許可を貰ったのだ。そのため、吉田へ会いに行こうかと考えていた。
落とさぬように懐へ入れ、階段を降りる。
その時だった。縁側からマサが顔を出し、丁度目が合う。
「ああ、良かった。まだ出掛けとらんかったわ。桜花はんにお客はんえ。門の前に居らはるよ」
「私に……?」
果たして自分を尋ねてくるほど、親しき人物などいたかと首を傾げた。草履を引っ掛けると門へと向かった。
すると、そこに居たのは気まずそうな表情の弥八郎だった。
「……ど、どうも。ホンマに壬生狼……いや、新撰組の屯所に居ったんやな……」
呉服屋の跡取りと言うだけあり、洒落た格好をしている。その顔を認めるなり、茶屋で怒らせてしまったことを思い出した。予想外の来客に桜花は驚き、取り敢えず共に外に出ることにした。
暫く無言で歩いていたが、それに耐えかねた桜花が先に口を開く。
「……驚きました、まさか貴方が訪ねてくるとは」
「お花から、此処を訪ねたらアンタに会えるって聞いたモンやから……」
「私に何か用ですか……?」
そう尋ねれば、弥八郎はぴたりと立ち止まった。そして口を引き結ぶなり、深く頭を下げる。
突然の行動に桜花は目を丸くした。行き交う人々が怪訝そうな目でこちらを見ている。それもそのはずで、傍から見ると町人が侍へ謝罪をしている光景なのだ。
「あ、あの、弥八郎さん……ッ」
「あの時は……済まんかった。アンタとお花が二人で話しとるの見たら、こう、頭に血が上ってしもて……」
「分かりました、分かりましたから。とりあえず頭を上げてくれませんか」
頭を上げた弥八郎は気恥ずかしそうに目線を反らす。
その所作がどうにも可愛らしくて、桜花は思わず笑みを零した。この男とは仲良くなれそうだと直感で思う。
「こちらこそ、勘違いをさせるような真似をして済みません。ところで……その後、お花さんとはどうなりました?」
「そ、それは…………」
弥八郎は顔を更に赤く染めると、少しの間押し黙った。そして覚悟を決めたように口を開いた。
「お、お花もこんな俺のことを好きや言うてくれて……、……こ、恋仲になった……」
「それはそれは!おめでとうございます」
祝辞を受け、弥八郎は照れ笑いを浮かべる。人を想いあう暖かい気持ちはどの時代でも共通事項のようだ。
「せや、今から時間あるか?お花もアンタに会いたい言うとってな。借りを作りっぱなしっちゅうのも性に合わんさかい、俺に奢らせとくれやす」
その申し出に桜花は首を捻ったが、彼の心情を鑑みて受けることにした。
には逆らうな。何をやらかしたんか分からんが、会うたら直ぐに礼を言わなはれ」
「お礼……?」
「そうや。武士としての心構えを教えて下さってどうも有難う、や。そう言うとけば何とかなる」
一方的にそう言い付けると、https://mathewanderson.zohosites.com/blogs https://anderson.animegoe.com/Entry/1/ https://mypaper.pchome.com.tw/mathewanderson/post/1381718891 男は横を通り過ぎていく。
「あ、貴方は……。……あれ」
名前を聞き忘れたと思い振り返るが、そこには誰も居なかった。真っ直ぐの一本道であるのにも関わらず、地面には足跡すら付いていない。
狐につままれたような心地で小首を捻ると、背後から影が現れた。
「……こんな所で何していやがる」
重低音が鼓膜に響き、息を飲む。振り返ると、そこには腕を組んだ土方が立っていた。
桜花はみるみる目を見開き、唇をパクパクと魚のように開閉する。
「いや、あ、あの、その……そ、そう!副長を待っていて、」
焦ったためか、自分でも何を言っているのか分からない言葉が口から滑り出た。土方は怪訝そうに眉間の皺を深くする。それに更に焦りを重ねた。
「……俺を?それは何故だ」
──ああ、もう駄目だ。どう誤魔化せば良いのか分からない。
その時、先程の男の言葉が脳裏を過ぎる。とにかくお礼を言おうと、顔を上げた。
「その!"武士としての心構えを教えて下さって、どうも有難う"ございました!」
そのように言い切り、ついでに頭を下げる。そう
すれば土方からは驚いたような気配を感じた。
暫く無言が続いたが、やがて固く重苦しい雰囲気が僅かに和らぐ。
「……次、腑抜けたら承知しねえからな。精進しろ」
その言葉に桜花は顔を上げた。目が合った土方は未だに恐い目をしていたが、先程よりは幾分か薄れている気がする。
「は、はい!」
失礼します、と桜花はそのまま八木邸へ向かって駆け出した。
後ろ姿を横目で見ながら、土方は首に手を当てて捻る。
「……何だァ、あいつ。可笑しな野郎だ」
その口元は僅かに上がっていた。 その夜のことだった。桜花は物思いにふけるように、小窓から空を眺めていた。手元には"未来へ帰る"と書かれた小さく破った懐紙がある。それを月へ翳した。
吉田から文字の良さについて言われた後、どうせ忘れていく運命ならせめて字に興そうと思ったのである。
「……書くだけ虚しい気もするけれど」
そう呟くと小さく折りたたみ、持ち歩いている御守の中へ入れた。
窓を閉めようとしたその時、視界の端に動くものを捉える。丁度壬生寺の境内が木々の隙間から見え、月明かりに照らされながら、一心不乱に木刀を振る何者かの姿があった。
「こんな夜更けに……誰だろう」
遠くからでもその太刀筋の美しさや力強さがハッキリと伝わる。もっと傍で見たいという好奇心がむくむくと擡げ、居てもたっても居られなくなった。
袴を着け、下ろした髪を軽く束ねると桜花は足音を立てずにそっと縁側から外へ出る。
境内へ足を踏み入れ、近くにあった木の影から様子を伺った。冴え冴えとした青白い月が一帯を明るく照らしている。
──あれは。確か……局長?
近藤が一振りするごとに、まるで空気が裂かれるような錯覚に陥る。しかも軽い竹刀では無く、太く重量感のある木刀を使用しているというのに、軽々しく振っていた。猛々しい、とはまさにこの事を言うのだろう。
それを見ているだけでも肌が粟立ち、本能的に絶対に勝てないと分かってしまう。
「…………すごい」
思わず感嘆の声が漏れた。
その時、鋭い視線と共に木刀の切っ先が真っ直ぐに桜花がいる木へ向けられる。汗が額を伝って目元を流れるも、瞬きひとつすらせずに真っ直ぐに見ていた。
「そこに居るのは誰だね。出て来なさい」
それに桜花はドキリとする。まさか、今のが聞こえたのかと息を呑んだ。風の音にかき消される程に小さなものだったと言うのに。
夜中に外へ出るなど、怪しい行動だと見咎められたらどうしようと思いつつも、おずおずと木陰から姿を現した。
「なら、それを極めれば良いさ。何処の誰よりも努力をして、うんと力を付ければ、もう君を蔑ろにする者は居ない」
妙に吉田の言葉はスッと胸に染み入った。それが可能だと思わせてくれる力があるのだろうか。
「学問は?」
「……その、字が読めなくて」
「文字は良いよ。https://andrea.anime-voice.com/Entry/1/ https://carina.anime-movie.net/Entry/1/ https://lilly.99ing.net/Entry/1/ いつでもその人に会えるから」
吉田は淡い笑みを浮かべると、再度手元の書物へ視線を移した。桜花もそれに倣う。
「文字や言の葉は人間の魂なんだ。例えその者の身が朽ちたとしても、永劫に聞いたものの胸に残る。そのようにして、人の歴史は紡がれていく……。分かるかい?」
「な、んと……なく。その本、大切な人の物……なんですか?」
「……うん。お師さんの最期の言葉が詰まっているものだからね」
度々会話に出てくる"お師さん"がどういった人物なのか、少し興味が沸いた。これほど大切な思い出として語られるとは、一体どのような人格者なのかと。
「吉田さんのお師さんって一体どのような──」
その時、夕七つの鐘が鳴った。それを聞いた吉田は書物を懐へ仕舞い、膝を立てる。
「……すまない、この後約束があるんだ。そうだね……次会った時に、話しの続きをしよう」
「は、はい」
桜花は去っていく吉田の背を見詰めた。ここに辿り着いた時に抱えていた、胸のつかえや嫌な感情がさっぱりと消えていることに気付く。
大きく背伸びをひとつしてから、もう少し頑張ろうと小さく微笑んだ。 日が暮れかかった頃に、桜花は壬生村へ戻った。その手にはいのり屋の団子がある。
前川邸の塀沿いをそっと歩き、土方に見付からないようにと足を忍ばせた。勤務交代の時間なのだろうか、門前に警護番の隊士すら居ない。
それにホッと胸を撫で下ろした時である。
前川邸の門を足早に潜ってきた男とぶつかった。その拍子に団子の包みを手から離してしまい、ひやりとする。
だが、その男が目に見えぬ速さで受け止めた。
「……危ないやっちゃな。ほら」
「あ……、有難うございます…………」
差し出された包みを両手で受け取り、男を見る。背丈と年齢は同じくらい、切れ長の三白眼に通った鼻筋、小麦色の肌に頬には傷。一匹狼を彷彿とさせる雰囲気だった。上方の話し言葉をしているが、何処か違和感がある。
「ああ、切腹を見て顔を真っ青にしていたやな……」
「……そうです」
そのように返せば、男は興味無さそうに目を細めた。しかし、何かに気付いたのか突然桜花の肩口に顔を近付ける。
妙な行動に桜花は目を丸くした。
「………………先生の匂いじゃ」
男は桜花に聞こえない声量で独りごちる。顔を上げると、今度は凝視し始めた。
「な、なんですか」
「何でもあらへん……けれど、ひとつ助言をしたる。此処で生きたければ、絶対に「……ご、御免なさい。あまりにも太刀筋が綺麗だったから、近くで見てみたくて……」
そのように言えば、近藤はきょとんとする。そして大きな口をニッと三日月のように上げた。
「何だ、君か。そういう理由ならもっと近くへ来なさい」
「……良いんですか?」
「駄目な理由が無いだろう。俺を暗殺する訳じゃあるまいに」
冗談めかしたように言われ、桜花は慌てて首を横に振る。
「そんな事しません!」
「はは、分かっているさ。まず君には殺気が無い。どのような達人であっても、敵を前にすれば殺気は消せねェってモンだ」
大らかな笑みを浮かべると、近藤は何かを思い立ったと言わんばかりに手を打った。そして桜花へここで待っているように言うと、駆け足で去って行く。
やがて戻ってくると、その手にはもう一本の木刀があった。
「ふふ、違いますよ」
そう言えば、娘は青い顔をして頭を下げる。
「ご、御無礼を。つい、前に居てはった方が長州の訛りをしてはりましたから……」
やはりそう思ったのかと桜花は口角を僅かに上げた。それを知った上で逃がそうとしてくれる気持ちが嬉しかった。
「有難う、https://www.beclass.com/rid=284b3cb655468ef91177 https://mathewanderson7.pixnet.net/blog/post/117849325 https://rty4fp.webmepage.com/carina-cyril/blog ございます」
素直な気持ちが表情に現れたのか、自然な笑みが漏れる。ほんのりと頬を淡く桃色に染め、柔らかいそれは、まるで直に花開く桜のようだ。
そう思った娘は、この若侍の名を知りたいと口を開く。
「あの、お侍はんのお名前をお聞きしてもええどすやろか」
そのように言われれば、桜花は茶が入った湯呑みを両手で持つと娘へ視線を返した。
「鈴木、桜花と申します。桜の花と書いて桜花。……貴女は?」
名乗りを受けて娘は目を見開く。まさに今考えていたことだった。名は体を表すというのはこれを言うのだろうと。
「はな……。花、といいます。何や、ウチら名がよう似てはりますなぁ」
花はそう言うと、嬉しそうに笑った。
「そうですね。すごい奇遇」
桜花も何処か楽しそうに目を細める。歳の近い友達と言えれば良かったのだが、男として通している以上、友情は築けないだろう。それが少しだけ悲しかった。
「鈴木様、余計なお世話かも知れへんけど……。あの後、壬生浪に追っ掛けられはったんやろ?どもないどした……?」
花は近くに座ると、眉を下げて問い掛ける。
「無事ですよ。ええと、あの場は逃げ切りましたが、後日捕まってしまいました」
驚いた表情を見せる花を見て、しかし、と言葉を続けた。
「思うほど、新撰組は恐ろしい集団ではありません。……彼らは行く宛の無い私を置いてくれました」
壬生に突然来た浪士集団──壬生浪と言えば乱暴で、京独特の風流すら理解しようとしない無粋者と、町民の間では言われている。花自身もそう信じていたが、桜花が言うのならそうなのかも知れないと揺れ動いた。
「ちゅうことは、鈴木様も隊士に?」
「いえ、違います。言うなれば使用人ですかね。あ、後その"様"って止めませんか。むず痒いというか……」
照れたように頬を掻く桜花を見て、花はクスリと笑う。そして鈴木はんと言い直した。
「難しいことはよう分からへんけれど、無事で安心しおした」
その時、暖簾を潜って一人の若い男が入ってきた。居住まいには品があり、整った顔立ちと洒落た着物に身を包んでいる。
「御越しやす、って何や。弥八郎やないの…」
花は反射的に立ち上がったが、露骨に眉を顰めると座り直した。ふい、と背けた頬が赤い。
「何やとはご挨拶やな。お花が暇しとるやろ思てわざわざ来たったんやないか」
弥八郎と呼ばれた男は、見た目に似合わず砕けた話し方をした。頭を掻くと向かいの長椅子へどっかりと座る。そして鋭い視線を桜花へ向けた。「別に誰も頼んどらへんし…。今、ウチはこん人とお話しとるの。弥八郎、はよ店戻ったらどうなん。お父ちゃん困らはるやろ」
「……い、今は休憩中や。それに誰やねんコイツ。ま、まさか……」
向けられた視線には敵意がたっぷりと込められている。流石の桜花でも居心地の悪さと共に、弥八郎が持つ花への感情を悟った。「ウチの恩人や!ほら、こないだ荒くれ者が来たとき、守ってくれはった……。せやからコイツなんて言わんといて」
間違いなく弥八郎は、嫉妬心を丸出しにしているのだが、こういう時に余計な口出しをすれば更に悪化しかねない。そう思った桜花はハラハラしながら成り行きを見守っていた。
ふと弥八郎が右手に持ってた小さな風呂敷包みのようなものを後ろへ隠したのを見付ける
土方歳三は副長だ。局長っていう器じゃない。
「主計、てめぇっ!いまのはどういう料簡だ、ええっ?」
当然ダダもれである。https://anotepad.com/notes/m4m924m3 http://suzanwines7296.populr.me/untitled https://jesonrose.blox.ua/2023/09/25/%e3%82%92%e3%81%82%e3%81%92%e3%80%81%e3%81%86%e3%81%aa%e3%81%9a%e3%81%84%e3%81%9f/ また叱られてしまった。
「申し訳ございません」
自分でもビクッとするほどおおきな声だった。しかも、裏返っていた。
「「鬼の副長」っていうくらいですから、副長はやっぱり副長以外かんがえられないな、と」
「ごまかすんじゃねぇよ。局長の器じゃねぇっていったろうが」
「失敬な。口にだしてはいってません」
「おまえのかんがえは周囲にもれまくってんだよ。口にだしていってるのとおなじことじゃねぇか」
「そんなの理不尽です。実際、発言していません。勝手に人の心に土足で踏み込むほうがモラルに反します」
逆ギレっていうのか、これ?兎に角、理不尽ないいがかり、もとい、パワハラを糾弾する。
「屁理屈いってんじゃねぇよ。おまえのは、心のなかにはいったり、ましてやよむまでもないんだよ。頭の上にはっきりと浮かんでいるんだからな」
「そんな馬鹿なっ!そんなのまるで、漫画じゃないですか」
さらに逆ギレっていうのか?兎に角、キレまくってしまう。
市村と田村が笑いだした。
よかった。この理不尽きわまりないパワハラ劇が、かれらの追い詰められた感をわずかでもやわらげることができたみたいだ。
「ったく」
やっぱり副長である。かれらの緊張感をやわらげるべく、理不尽きわまりないパワハラ上司を演じてたんだ。
ですよね、副長?
いまのおれのダダもれはスルーされた。
副長はプリプリしていたが、表情をやわらげて子どもらにを向けてから告げる。
「副長でいい。鉄のいうとおりだ。おれも、局長なんて呼ばれてもしっくりこねぇ」
「じゃぁ副長、わたしたちは捨てられるんですか?」
と問いに、さすがの副長もゼロコンマ以下の間たじろいだ。
「捨てる?なわけなかろうが。できれば、どこか静かな土地の裕福な家に預かってもらいてぇとは思ってるがな……」
「いやですっ!」
二人そろって、副長にかぶせた。
「お願いです。足手まといにはなりません。がんばって敵を殺します。だから……」
「だめだっ!」
市村が訴えおわらぬうちに、ダメだしをしたのは俊春である。
かれは、分厚いがこぶりの掌を伸ばすと二人の肩をがっしりつかんだ。それから、無理矢理自分の方へ向かせる。
「おまえたちは、を殺してはならぬ」
俊春のめっちゃ悲し気なと声音がジワる。
二人とも、俊春の言葉にはっとさせられたようだ。
瞬時にして、二人のに後悔というか悪いことをいってしまったというか、兎に角、バツの悪そうな表情が浮かんだ。
「ぽち先生のいうとおりだ。不安にさせちまったことは謝る。なにも捨てるつもりはねぇ。だが、危険な目にあわせたり、敵も含めただれかを傷つけさせるつもりもねぇ」
副長が俊春に落ち着くよう、アイコンタクトを送った。俊春は、恐縮して二人から掌をどけると頭を軽く下げる。
「ゆえに、おまえらが無事に不自由なくすごせるところがみつかれば、そこに置いてゆく。その覚悟だけはしておいてくれ。おまえらになんかありゃぁ、局長や源さんが浮かばれねぇ。わかってくれるな?それから、二度とを殺すなんてことをいうな。そんなことは、おまえらがすべきことじゃねぇ。たとえわが身や仲間が危険にさらされようと、おまえらはさっさと逃げるんだ。おまえらなら、それができる。ムダに戦おうとするな」
副長のことを分けた説得に、かれらは納得しきっていないとしてもうなずくしかない。
どちらもこくりと頭を上下させた。
「まっ、もしもここに捨てるとしたら、それは主計だな」
「そうですよね」
「やっぱりですよね」
ちょっ……。
かれらの不安をやわらげるにしても、いまのはひどくないですか、副長?
それに、市村も田村も納得するんじゃない。
かれらがでていってしまうと、副長はおおきく息を吐きだした。
大人とはちがう意味であつかいに気を遣っているのだろう。
「副長、やはりたち同様、日野に置いてきたほうがよかったとお思いですか?あ、おれも副長って呼んでいいですよね?」
副長に、そうふってみた。
といい、副長や沖田には兄弟子にあたり、新撰組の幹部で局長や副長にとってはいい兄貴分である
泰助は、の甥っ子である。
新撰組がまだ隆盛をきわめていた、幾度か隊士を募った。が、関西系はじつに油断がならずしかも飛びやすい。飛びやすいというのは、辞めてしまうことである。
ってか、新撰組では行方不明というか、ぶっちゃけ脱走になるか。
お調子者のおおい関西系である。勢いや思いつきで入隊したものの、そのブラックさに「こんなん話がちゃうがな」ってなって、脱走してしまうのである。
ゆえに、わざわざ関東、副長たちにとっては地元へ出張し、隊士を募りにいったのだ。
その際、故郷の後援者たちから、何人もの子どもらをつかってくれ、と託されたわけである。
副長たちも後援者からの頼みをむげにはできなかった。ゆえに、引き受けざるをえなかったわけである。
それで、局長と副長の小姓というようなていにし、子どもらは京ですごした。
市村の必死の