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ができたからであることはいうまでもない。
厳しすぎる現実は兎も角、相棒は綱をめいいっぱい伸ばしつつ、永倉の左うしろに迫った。それから、鼻先でかれの尻端折りする太腿をちょんちょんと突っついた。
「兼定、すまぬ。い、いや、案ずるな。ぼーっとしていただけだ」
相棒をみおろし、https://blog.goo.ne.jp/debsy/e/ffd4bed4cdef39690f4736eefc7fdfe7 https://blog.naver.com/nav3656/223190648193 https://freelance1.hatenablog.com/entry/2023/08/22/211208?_gl=1*1gzxhcd*_gcl_au*NDk5MTMyMTEwLjE2OTI0NTg3NDE. 永倉はしどろもどろに告げる。
「しばしはなれていらっしゃったときも、かような状態だったのですか?」
俊春もまた、相棒同様永倉にちかづいた。とはいえ、近間にはいったところで歩をとめる。
その俊春の問いで、おれもやっと気がついた。 周囲をみまわしてみた。
東からやってくる人はいるのに、西からやってくる人はいないようだ。つまり、東へ向かっているのはおれたちくらいなものである。
しかも、からやってくる人のほとんどは、がっつり旅装である。おれたちみたいに、ちょっとコンビニにいってくる的な恰好ではない。
こういう人たちは、いまや敵の占領地といってもいい江戸から逃れてきたのであろうか。まだまだつづく戦火や、占領軍から逃れてきたのかもしれない。
陽射しはきつく、番頭のコスプレでは暑いくらいである。刀や軍服は、俊春が背に負う籐駕籠に入れてもらっている。
遠目にみれば、農夫の永倉の村に商売にいく店の主人と、その番頭と小者。それから、主人一行のボディーガードを務める武芸者と、その小者にみえなくもない、だろうか?
でっ相棒は、もちろん番犬の役目である。
って、やっぱ相棒以外は、無理があるよな。
「永倉先生、ユー・アー・ロンリー・ライト?」
「はぁ?なんだと?」
現代っ子バイリンガルの野村の問いに、永倉が気色ばんだ。
うん、わかる。わかるぞ、永倉。
「永倉先生。利三郎は、さみしんでしょうって、いったんですよ」
永倉に告げてみた。
永倉のことである。どうせ、「ちがう」って怒鳴って、野村の頭でもどやすだろうな、って思いつつ。
「・・・・・・」
が、永倉は、意外にもだまりこんでしまった。
えっ?マジで原田ロスなんだ。
「おいおい、新八。おまえら、そういう関係だったのか?」
副長が立ち止まったので、おれたちも立ち止まった。
副長は、ドラマとか漫画とかでがかぶっていそうな浪人笠を指先であげ、冗談めかして尋ねた。
副長は、永倉が「ちがうだろうがっ!」って、全力否定すると確信しているにちがいない。
「そんなわけないだろう?だが、あいつがいなくてはりあいがなくなったってのは否定はせぬ」
そして、BLは否定するが、さみしがり屋さんなのは認める永倉。
そうか、なるほど……。
たしかに、それはそうかもしれない。
永倉と原田の関係は、試衛館時代からである。十年とまではいかなくても、七、八年以上はいっしょにいたはずである。しかも、どちらかが出張とか出向していないかぎり、ほぼいっしょだったはず。
それが急にいなくなったら、さみしくないわけはない。
さきほどの俊春の問いは、靖兵隊から原田が抜け、局長の斬首の際に再会するまでのことだったのだ。
「左之が靖兵隊を抜ける際、江戸で会う約定をした。ゆえに、ここまでではなかった」
永倉は俊春をみ、さきほどの問いに口の形をおおきくして答え、ちいさなため息をつく。
おそらく、局長の死でナーバスになっていることもあるんだろう。
「「がむしん」、しっかりしてくれよ。靖兵隊には、まだの隊士が残っているんだ。なんとしても、救ってもらわねばならん」
「ちっ・・・・・・。土方さん、あいつらは、の隊士じゃないだろうが」
永倉は、苦笑する。
「わかっている。わかっているって」
かれは怒鳴りつつ、両掌で両頬をたたいて気合を入れる。
「さみしがっているひまはないよな。すまなかった。ゆこう」
それから、さっさとあるきだした。
その永倉のがっしりとした背をみると、かれも相当まいっているのに、無理をしていることがひしひしと感じられる。
があった。すると、副長は両肩をすくめてから浪人笠をかぶりなおし、かれを追った。
もちろん、おれたちもあとにつづく。
とりあえずはいったん板橋まで戻り、そこからあらためて日光街道をすすむことにした。幹道もないわけではないらしいが、街道をとおったほうがはやいらしい。
もちろん、リスクはある。
しかし、敵はまだまだ彰義隊などのゲリラ活動の対応におわれている。いっきにとおりぬけてしまえばいい。
それに、このメンバーは、ある意味最強である。なにがあろうと、切り抜けられるにちがいない。
だが、その推測は裏切られてしまった。
なんと、とんでもない事態に陥ってしまったのである。
板橋についたのは、それから小一時間ほどしてからである。
正直、
ちょっとまてよ」
お堂にむかってあるきだしたとき、副長がなにかを思いだしたらしい。
副長は、全員の注目を集めてからつづける。
「くそったれ!おれは、判断をあやまっちまった。左之を丹波にゆかせるなどと・・・・・・」
「はあ?いまさらか、
http://janessa.e-monsite.com/blog/--49.html https://www.evernote.com/shard/s330/sh/7a973aa8-eeef-3ee5-72e3-56188f518624/Hs0fW5c1n4oUmHuE7hr41zEVHhVqxF3QTTGKOjGtiMyw3v3vJz3F3IQ3HA https://plaza.rakuten.co.jp/aisha1579/diary/202308220002/ 土方さん?まったく意味がわからぬぞ」
副長の隣をあゆむ永倉は、当惑している。もちろん、おれもである。
「ふんっ!土方さん。いまさら気がついたところで、すでにおそいんだよ」
原田は、なにゆえかドヤ顔で勝ち誇っている。
「副長、お案じなさいますな。原田先生が兄と京で合流されれば、副長のご懸念はきれいさっぱり払拭されましょう。それでもなお、原田先生がおイタをされるようでしたら、そのときには遺憾ながら史実どおりになってしまうかと……」
俊春が神妙に伝えると、永倉がなにかに気がついたらしい。
かれはうしろをあゆむおれたちを振り返り、うしろあるきしながらニヤニヤ顔で口をひらく。
「なるほどな、左之。それであれば、上野でくたばったほうが恰好いいよな。戦で討ち死にってほうが、よっぽど
らしい」
永倉がニヤニヤ笑いつついう横で、副長がうなずいている。
に手をつけ、その腹違いの弟にぶっ殺されたってなこと、おれの子孫に語り継がせないでくれよ、左之」
永倉は、そういってから大笑いする。
なるほど、そういうわけか。
副長と原田は、双子の腹違いの姉のお美津さんにちょっかいをだしていた、という疑惑がある。
副長は、それを思いだしたのである。
をなくすっていうのは間抜けすぎる。
ってか、いまのやりとりで、あの疑惑にかなり信憑性がでてきたじゃないか。
「ちっ・・・・・・。京は、素通りするか。いやいや、総司のことがあるからな・・・・・・。くそっ。そうだ、たまが去ったあとに・・・・・・」
原田は、ぶつぶつとつぶやいてる。どうやら、策を練っているらしい。
思わず、笑ってしまった。
真実は兎も角として、副長も原田もそこまで女性に飢えているわけではない。二人とも、腹立たしいほど、いやちがう、うらやましいほど、これもちがうか、兎に角、モテるのである。ただぼーっと突っ立っているだけでも、女性がわらわらとよってくる。ゆえに、をかけてまで、女性をどうにかしようってことはないだろう。
たぶん、だけど・・・・・・。
深更のおむすびを喰い、原田と別れることになった。
別れ際、かれにハグされた。
原田は、おれの必死の訴えがさすがにこたえたらしい。かれは全員おなじくらいの時間、ハグした。
心もち、俊春が長かったかもしれないが。
原田左之助……。
なんかまた会えそうな気がするのは、気のせいだろうか。
そして、おれたちもまた、仲間を追うために出発した。
とりあえずは、日光街道の今市宿をめざすことになった。靖兵隊が、そこいらをうろついているかもしれないからである。
今市宿は、会津西街道が合流している。そこから、おれたちは会津を目指す予定である。
「組長、大丈夫ですか?」
コスプレイヤーたちと並んであるいていると、島田がまえをあるく永倉に声をかけた。
ってか、じつはおれも、コスプレをしている。双子は、衣裳を余分に準備してくれていたのである。
でっなにゆえか、野村はちょっと裕福な町人の恰好で、おれは番頭っぽい恰好、俊春はいつもどおり小者って恰好になった。
第三者からみたら、この一団はいったいどういう関係なんだろうって不思議に思うにちがいない。
これならいっそ、ハロウィンの時期で、ホラーっぽい恰好でねりあるけばいいんだ。
もしくは、「東京国○展示場」のコミケみたいに、ガチなコスプレでもよかったのかもしれない。
「あの、組長?」
島田は、永倉からの返事がないので、再度声をかける。
そういえば、出発してからというもの、永倉が元気がない気がする。
「おいっ新八、大丈夫か?」
隣をあゆむ副長が、みるにみかねて肘で永倉の脇腹を突っついた。
「あ?す、すまん」
永倉は、そこでやっと気がついたらしい。
すると、相棒がおれの横からするするとまえにでていった。
あ、いや。正確には、おれの右横で、俊春の左横から、である。つまり、相棒は、おれが綱を握っておれにしたがっているわけではない。俊春が綱を握り、かれに従っているのである。
でっ、そのお犬様のご機嫌は、超絶マックスにいい。
これもまた、おれと再会できたからではない。俊春と
永倉のいうとおりである。せっかく助かる
「
原田は袱紗をみおろしてから、
ぽちをいじめるとは、どういう料簡だ?」
そして、原田の謎かばい。
「ちょっとまってください。いじめてるわけではありません。どうでもいいことなだけです。兎に角、後頭部をよむって、どうやったらよめるんです?」
「どうでもいいことなどないぞ、主計。そもそも、後頭部をよむってことだって、どうでもいいことだろうが」
「はあ?そこは大事でしょう、https://www.liveinternet.ru/users/freelance12/post500817922//
https://www.bloglovin.com/@freelancer10/12082135 https://lefuz.pixnet.net/blog/post/106031449 原田先生?どうやったら、後頭部をよめるっていうんです?それに、『おれのぽち』って、どういう意味なんです?」
背伸びする勢いで、原田に疑問をたたきつける。
なんでこんな不毛ないい争いをやっているんだろうか。そもそもの問題を忘れてしまった。
「兼定、『きせ〇じゅう』とはなんだ?」
「クーン」
「なに?おぬしもしらぬ?そうか・・・・・・。気になってしかたがない」
「クーン」
元凶である俊春本人は、お座りしている相棒のまえに両膝を折り、仲良しトークをやってる。
「だいたい、原田先生はぽちにやさしすぎますよ。いっつもかまってるし、いっつもみまもってるし。昨夜だって、ぽちだけ、やたらめったらハグがながかったでしょう?利三郎やおれなんて、ギュッっとした瞬間で『はい、おしまい』でしたし。不公平すぎます」
「おま・・・・・・」
おれの渾身の想い、いや、ぶっちゃけ不満をまともに喰らった原田は、絶句した上にその長身を揺らめかせた。
「土方さんとおねぇ、それから八郎だけじゃなく、おれまで好きだったとは・・・・・・」
「はいいいいいい?なんで、なんでそんなに曲解できるんです?」
最近、すっかりヒステリックになってしまっている。
まさか、男の更年期障害?しかも、若年性ってやつ?
「兼定、『こうねんきしょうがい』ってなんだ?料理の名か?うまいのか?ならば、つくってみたいな」
そして、俊春はおれをよみまくり、呑気に相棒に尋ねている。
「キイイイイッ!いいかげんにしてくだ・・・・・・」
「やめねぇかっ!朝っぱらからキイキイ叫んでんじゃねぇっ」
まるで「示現流」の猿叫だ。だが、それもおれ以上の大音声でかぶされてしまった。
いつの間にか、副長が立っているではないか。副長だけではない。永倉もいる。しかも、永倉はめっちゃニヤニヤしている。
二人とも気配を消し、しばらくまえから様子をうかがっていたにちがいない。
「いないって思ったら、わーわーきゃーきゃーと騒ぎやがって」
「副長。お言葉を返すようですが、おれじゃないですよ。原田先生とぽちが・・・・・・」
「いいわけすんじゃねぇよ。一里四方に響き渡るようなキーキー声をだしてんのは、おまえじゃないか、主計っ!」
「そ、そんな・・・・・・」
たしかに、キーキーわめいたのはおれだけど・・・・・・。
理不尽きわまりない。頭ごなしに叱られ、返す言葉もないっていうか、許されるわけもなく、シュンとしてしまう。
「くくくくっ」
そんなおれを、永倉も原田も俊春も、ついでに相棒まで、笑っている。
「ったくよう・・・・・・」
おれをにらみつける副長の眉間の皺がやわらいだ。
「島田が朝飯を準備してくれている。っていっても、深更に喰った残りだが。それを喰ったら、出発する」
今日は、腹立たしいくらいに快晴である。昨日の曇天が、嘘のようである。
この分では、気温もそこそこ上がるだろう。
「原田先生」
俊春は、立ち上がると原田にちかづいた。軍服の内ポケットから袱紗をとりだすと、原田にさしだす。
「新門の親分からの選別です。道中、お役立てください」
「あ、ああ。なれど、もらっていいのか?土方さん、あんたらは・・・・・・?」
を副長と永倉へ向ける。
「案ずるな。おれたちの分は、すでにぽちからあずかっている。新八とおまえ、おれとで三等分させてもらったからよ」
さすがは副長。ぬかりはないってわけだ。
それにしても、いつの間に?
「あの、原田先生。わたしごときのことを気に病んでいただき、ありがとうございます。その・・・・・・。いろいろご迷惑をおかけしました。主計の申すとおりです。あなたは強くてやさしい方です。なにより、いいです。死んでいい方ではない。なにがなんでも、生き抜いてください。それだけが、わたしの願いです」
「おいおい、ぽち。あらたまって、なんだ?仲間なんだ、当然であろう?それに、おまえにはまだ、おれの真骨頂を伝えてないからな。すべてが片付いたら、じっくり伝授してやる。ゆえに、たがいに死なないようにしよう。なっ?」
原田は満面の笑みで、俊春の頭をがしがしなでている。
『おれの真骨頂』ってところが気になるし、ツッコミたくなるが、二人の雰囲気がほのぼのしているからまっいっか。「それから、丹波にまいられましたら、みなさまによろしくお伝えください」
俊春は、頭をさげた。華奢な肩がかすかに震えている。
どうやら、泣いているのをみせぬために頭をさげたようだ。
「わかっいる。松吉と竹吉にも、おまえらが元気でがんばってるって、伝えておく」
原田は、すべてを承知しているらしい。
俊春は口にこそださないが、養子である松吉と竹吉を案じているのだ。原田は、それに気がついている。そういって、安心させたのである。
でお堂へとあるきはじめた。
「そういえば、主計の愛しい八郎はどうなるんだ?あいつは、生真面目だからな。江戸の「練武館」を訪れたとき、迷っていたであろう?遊撃隊で、うまくたちまわっていたらいいが」
原田は、https://blog.naver.com/nav3656/223190637666 https://freelance1.hatenablog.com/entry/2023/08/22/211052?_gl=1*e0upkf*_gcl_au*NDk5MTMyMTEwLjE2OTI0NTg3NDE. https://ameblo.jp/freelance12/entry-12817324884.html おれに意味ありげな笑みをみせる。
まだ流山にうつるまえの話である。
副長、永倉、原田、斎藤、双子と子どもたちで、伊庭八郎の生家である「練武館」を訪れたことがあった。
伊庭が、「剣術の勝負をしよう」と誘ってくれたのだ。このおれを、である。それはもちろん、快諾した。でっ、さっそく招きに応じた。が、誘われたのはおれだけなのに、おまけがたくさんついてきたってわけである。
伊庭との勝負は、最初から最後までおされっぱなしではあったものの、引き分けにおわった。そのあと、やめておけばいいのに、副長まで勝負をしたがった。副長の望みである。もちろん、勝負をした。
ちなみに、副長はこのとき、油をまき散らすというチートな、もとい、高等テクニックを披露してくれたのだ。
その授業料が高くついたのは、いうまでもない。後片付けが大変であった。
思い出に残るひとときであった。
もちろん、伊庭とすごせたからというわけではない。
それがたとえだれであろうと、想い出に残るひとときになった、はずである。
おそらく、ではあるが。
「ってか、主計の愛しい八郎君っていったいなんなのです?原田先生、そんな誤解を招くようないいかた、やめてくださいよ」が崩れまくっておるぞ。その助兵衛な笑み、みっともないからやめたほうがいいと思うのだが」
うしろから、俊春のマジな声が飛んできた。
かれの声は、そんなにおおきくなかった。が、このあたりは静謐と表現していいほど静かすぎる。音といえば、俊春とおれの軍靴と原田の草履が、獣道に落ちている葉っぱを踏みしめるかすかな音くらいである。
ゆえに、いまのはまるで声高に非難されたみたいに響き渡った。
「ちょっ・・・・・・。なにゆえ、うしろをあるいているあなたに、おれの表情がわかるんです、俊春殿?」
立ち止まり、くるりとうしろを振り返った。同時に、腰に掌をあて、相棒をしたがえている俊春にすごんでみせる。
べつに、相棒が俊春にべったりだからやっかんでいるわけではない。念のため。
「ぽちだ。わたしは、ぽちだ。以前のように、ぽちと呼んでくれ」
かれもまた、立ち止まった。もちろん、相棒も。
こうしてみてみると、なにゆえか俊春のほうが弟犬で、相棒が兄犬みたいな気がする。
兄犬である相棒は、弟犬である俊春が心配で心配でたまらないって感じがしてならない。それゆえに、俊春についてまわっている。そんな雰囲気だろうか。
それにしても、本物の犬の名が「兼定」って立派なのに、の呼び名が「ぽち」?
思わず、笑ってしまいそうになった。もっとも、いまさら、であるが。
「わかりましたよ、ぽち」
「ならば、さきほどのおぬしの問いにこたえよう。おぬしの後頭部だ。おぬしの後頭部の表情をよんだのだ」
「後頭部?」
あまりにも想像のななめ上をいきすぎてる回答だったので、声がうらがえってしまった。
木々のむこうのほうで、種類のわからぬ鳥が騒ぎながら飛び立っていった。
「こ、後頭部って・・・・・・」
を掌でさわってしまった。
の頭、つまり脳をふくめた頭全体に寄生して体全体をのっとってしまうのである。その頭は、刃物や鞭のように形をかえ、どんな相手でも倒してしまう。そして、
脳裏を、「寄〇獣」っていう漫画がよぎる。を捕食するのである。
たしか、アニメや映画にもなったかと思う。
漫画しかみたことがないが、結構、衝撃的であった。
頭が真っ二つに割れたり、身体の部位が変形して刃物っぽい武器に変形したりするのである。
もちろん、いまここにそんなものは空からやってきていないし、おれも寄生されていない。
「『きせ〇じゅう』とは、なんのことであろうか?」
俊春は、またしてもおれをよんだらしい。かわいらしく尋ねてきた。
「いいんですよ。ただの漫画、草双紙みたいなものです」
「どのような物語なのだ?」
「いいんですよ、ぽち。ただの荒唐無稽な話なんですから」
さらに、さらに声を大にしてしまった。
「くーん」
一方的に怒鳴ってしまったやなやつになってしまった。
相棒が、泣きそうになっている俊春をみあげてなぐさめている。
「おいおい、主計。
ある日、空から正体不明の生物がやってきて、
無意識のうちに、
「主計。文句をつけるわりには、
から東か北かってことになる。幕府側のほとんどが、そっちへ流れてしまう。しかし、も、そのことはみこしている。ゆえに、討伐するために兵を送るだろう」
蟻通が、欠伸をかみころしつつ述べる。それから、同意を求めるように副長のほうへを向ける。
「ああ・・・」
https://blog.udn.com/79ce0388/179772847
https://blog.udn.com/79ce0388/179772877 蟻通ではなくおれをみている。
副長のアイコンタクトに、無言でうなずいてみせる。
「島田、勘吾。ちょうどいい機会だ。伝えたいことがある」
そうきりだすと、俊春が廊下側の障子をすべて閉ざす。
その内容がシークレットであることを、島田も蟻通も気がついたらしい。副長が小声で告げることを想定し、ちかくによる。
もちろん、双子とおれも。
「島田にはこのまえ伝えたんだが・・・。勘吾、がわかっているにもかかわらず、それをまったくいかしきれていないのです」
「ちょっ、たま。なにゆえ、おれの台詞をパクるんです?もとい、横取りするのです?ってか、なりすますんです?」
「おぬしがいいにくそうにしておったから、気をきかせて応じてやったのだ。かようなものいいはなかろう?」
「どおりでな。かわり者だと思っておったのだ」
「蟻通先生。変人だと、よくいわれますよ。でも、あたってますからね。おれは、変人で助兵衛で役立たずの腐散歩係ってわけです。はははっ!」
「ちょっ、ぽち。それもおれの台詞ですよね?ってか、真似、じゃなくってでたらめいわないでください。しかも、自虐ネタすぎるのに、はははってさわやかに笑いまでつけるなんて。ってか、だれが変人で助兵衛で役立たずの腐散歩係なんです?」
「おどろいた。ぽちもたまも、主計にそっくりだ」
「誠の主計に、偽の主計ってやつだな。でっ、こっちが誠ってわけだ」
蟻通の指は、たしかに双子を指している。
「いや、そこじゃないでしょう、島田先生、蟻通先生。ってか、蟻通先生、おれが偽物ってひどいじゃないですか」
完璧なるイジメだ。
「やめねぇか。ったく、どいうもこいつも真面目な話になると、すぐにふざけやがる」
副長がたしなめてくれた。
たしかに、みな、真面目な話題は苦手である。
「こっからが問題だ。島田、勘吾。をみつめている。
「それは・・・。そりゃぁ、移るのを反対するよな」
ややあって、蟻通がぽつりとつぶやく。そういうしかないかのように。
「それで、局長は?どうなるのです?」
島田である。敵に投降して、盛大な饗応で歓待されるとは考えにくい。そのさきが気になるのは、だれしもおなじことであろう。
その問いに、副長は答えぬままただを障子に閉ざされた向こうにある庭へ向けただけである。
あきらか、答えにくいというそのジェスチャーに、島田も蟻通も脳内で推測し、自分の推測に困惑している。おろおろとを副長から双子、それからおれへと転じる。
「ま、まさか切腹させられるのか?」
ひきつった笑みにそえられた蟻通の問いは、副長にではなくおれに向けられたものである。
直後に訪れた沈黙。障子の向こうから、「ちゅんちゅん」と雀たちがさえずっている。
いつの時代でも、そのさえずりはおなじようにきこえるし、のどかな印象を受ける。
雀のさえずりは、求愛や警戒、餌をみつけたりとか、雀同士のコミュニケーションにつかわれているのだとか。つまり、なんのへんてつもない「ちゅんちゅん」も、バリエーションがあって、雀たちはちゃんと会話をしているわけである。
そういえば、双子のまわりによく雀が集まっている。異世界転生か昔話のなかで、かれらならきっと雀のお宿で葛籠をもらったことがあるにちがいない。あるいは、雀タイプのモンスターと仲間を求めて旅したことがあるだろう。
雀の気持ちや会話が、わかるにちがいない。
などと、雀に逃避している場合ではない。島田と蟻通のが合うと、副長が「おまえが告げてくれ」と、いっているように思えた。その依頼に、思わず躊躇してしまい、無意識のうちにに、なにゆえかどきりとしてしまう。変な意味でではない。例のごとく、得体のしれぬものを感じたからである。
仕方がない。観念する。たったワンフレーズ。いや、一語でいいのだ。たった一語、口からだすだけでいい。その一語だけで、島田も蟻通もすべてを理解できる。
「斬首でございます」
口をひらきかけたタイミングで告げたのは、俊冬である。すると、島田も蟻通も、はじかれたように俊冬へとを転じる。
「斬首?」
「斬首?」
生まれてはじめてきいた単語のごとく、それを口にする二人。一拍置いて、やっとそれを理解したらしい。あっという間もなく、驚愕の