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じゃ!」
「新撰組一番組組長、榊桜司郎です」
戦場に似つかわしいほど穏やかな笑みを浮かべながらも、恐ろしいまでの殺気を放っていた。
その時、横から別の薩摩藩士が斬りかかってくる。視界の悪さを払うように白刃が横に走らせれば、ゴロリと首が落ちて血飛沫が飛んだ。
「ひ…………ッ、お、鬼じゃ、鬼──」 https://www.liveinternet.ru/users/freelance12/post502251933// https://www.bloglovin.com/@freelancer10/12243180 https://lefuz.pixnet.net/blog/post/120794623
腰を抜かしかけた男の首も地面へ伏す。返り血を拭いながら、山野が桜司郎の肩を叩いた。
「敵と話してんなよ。これいいな、貰っておこう。……次行くぞ!」
薩摩藩士が手にしていた銃を拾い上げると、山野は駆け出す。 己の中にこれほど残酷になれる一面があったなど知らなかった。
銃口を向けてくる相手を撹乱しながら、的確に急所を突いて回る。重鎮の思考などまるで知らぬような下っ端の兵士だと分かりつつも、親の仇のようにただ斬った。
そうすればするほどに血が滾る一方で、心が冷めていく。飛び交う銃弾すら遅く見えた。骸をひらりと飛び越え、着地と共に切り上げれば瞬く間に血が舞う。
返り血で羽織がぐっしょりと重くなったことが煩わしいのか、桜司郎は向かってきた敵の顔へ被せるように投げ付けた。そして怯んだ隙に足払いをし、倒れ込んだところを上から突き刺す。
次の敵を探すように顔を上げたその時だった。
複数の薩摩兵が近くの建物へ火を放った。恐らくは街ごと焼き払う気なのだろう。
「──桜司郎!駄目だ、これ以上は進めねえ!」
パチパチと火花が散る。後ろを向けば、大砲が直撃したのか伏見奉行所からも火の手が上がっていた。
「……火…………」
やがて轟々と燃え始めたそれを見て、桜司郎は呆然と立ち尽くす。その目には畏れと共にが死んだ時の光景が浮かんでいた。
「──司郎ッ、桜司郎ッ!早く!」
その切羽詰まったような声にハッとすると、駆け出そうとする。
だが目の端に、蹲る男を捉えた。肩にはの一文字をあしらった袖章を付けており、それが隊士であることが一目瞭然である。
「八十八君!先に行ってて!直ぐに追い掛けるッ」
桜司郎はそう叫ぶと、退却方向とは逆に駆け出した。隊士の元へ向かい、声を掛けるが急所を撃たれたのか既に虫の息だった。
そこへ近くに大砲が着弾し、その衝撃で身体が飛ばされた。幸か不幸か建物に叩き付けられる。
「グッ、ゲホゲホッ」
一瞬息が出来なくなり、咳き込んだ。生理的な涙を浮かべながら、山野の姿を目で探すが何処にも居ない。
桜司郎の背にある長屋にも火が及び、ぐらりと屋根の瓦が崩れかける。だがあちらこちらの銃声や轟音にかきされ、それに気付けなかった。「──榊君、前へ避けろォッ!!」
ビリビリと鳥肌が立つほどの声量が桜司郎を貫く。その声に導かれるように、咄嗟に前方へ転がった。
すると、紙一重で背後にガシャンと音が聞こえる。恐る恐る後ろを向くと瓦が数枚割れていた。
「全く、前々から思っていたんだがよォ。お前さんは何処か生き急ぐ節があるなァ」
「い、井上先生……」
この辺りの戦闘を担当していたのだろう、ところどころ顔に煤が付いた井上が駆け寄ってくる。負傷したのか、二の腕辺りの袖が破れて出血していた。