忍者ブログ

Alicia McKenzie's Blog

納得したような、しかしまだ不

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

納得したような、しかしまだ不

納得したような、しかしまだ不満も残るような信長の不明瞭な顔を見て

 

「それよりも殿、この前庭をご覧下さいませ」

 

濃姫はすかさず夫の身体を室内から外へと向け直した。

 

「せっかく殿が美しき部屋を用意して下されても、庭がこのように殺風景では満ちた心も萎えてしまいまする」

 

確かに前庭には老松と庭石くらいしかない。https://ypxo2dzizobm.blog.fc2.com/blog-entry-98.html https://mathew-anderson.mystrikingly.com/blog/add-a-blog-post-title https://www.minds.com/blog/view/836493763118686208

 

さすがに信長も無風流と感じたのかこれはしたりと、軽く太股の辺りを叩いた。

 

「どうかお願いにございまする。腕利きの庭師を集め、どうぞこの庭を季節の花々が咲き乱れる、情緒ある庭につくり替えて下いませ。殿の御居城に相応しきものに」

 

妻の甘えるような懇願に、信長も、見落としていた自分自身が許せなかったのも相俟ってか

 

「しょ承知致した。これに関しては早急に手配を致そう」

 

「有り難う存じまする」

 

「これだけじゃな?他に何か不備はなかったであろうのう?」

 

「はい、他には何も。──されど確か、あちらの中庭の方も

 

濃姫はどんどん別の方向に話を持っていき、信長の意識を部屋の設え云々から離していった。

 

いつもなら鋭く双眼を光らせる信長を、ああも易々と自分のペースに乗せてゆく姫の姿を見て、三保野はやれやれとかぶりを振った。

妻の裁量というよりは、ただの誤魔化しである。

 

姫もまた小狡い手を使ったものだと、三保野は小さな嘆息を漏らした。

 

けれど、以前の濃姫ならば

 

幾らなんでも派手過ぎる!

 

このような部屋では落ち着かぬ!

 

と説教じみた不服を申し立て、確実に信長と衝突していたであろう。

 

それを考えると

 

殿の機嫌を損ねぬよう努めただけ、姫様も少しは成長なされたのであろうのう

 

そう思うて差し上げなくてはなと、三保野はその口元に柔らかな笑みを湛えるのだった。

 

 

──それはそうと」

 

外に向いていた信長の目が、ふと濃姫に移った。

 

「先達て末森の城より知らせがあってな。此度の戦勝と城移りの祝いを申しに、二日後、この清洲の城へ信勝と母上が参上致す事と相なった」

 

「まぁ、左様にございましたか。お二方にお会いするのも久方ぶりにございますね」

 

「そうじゃな。……母上の世話はそなたに任せたぞ。適当に相手をしてやってくれ」

 

「適当にだなんて。報春院様は、殿の実のお母君ではございませぬか」

 

「儂にとっての母は恒興の母である大御ちじゃ。同じ腹から生まれし信勝やお犬、お市を弟妹(きょうだい)と思えど、末森の母を母と思うた事などない。一度もな」

 

声を濁らせて語る夫の心中を、濃姫は慮(おもんぱか)った。

「殿と報春院様のご関係は、言うまでもなくよう存じておりまする。されど報春院様とて人の子、鬼ではございませぬ」

 

「何が言いたい?」

 

「一度心を開いて話し合()うてみては如何にございますか?」

 

「あの血の冷たい母と何を話せと申すのだ」

 

「殿の聡きところを見せ、昔のようなうつけではない事をお示しになられれば、報春院様とてきっと殿の良さをご理解下さいます。

 

今はただ、信勝様お可愛さのあまりお目が曇られているだけ

 

曇っているのならば、殿がご自身のお手で、それを拭って差し上げて下さいませ。それが関係改善の近道かと存じまする」

 

真摯に告げる濃姫を、信長は静かに一瞥すると

 

「もう良い、その話は──。末森の一行が挨拶に参る話が、何故に儂と母上の話になるのだ」

PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R