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桜司郎が去った頃合に、隣の部屋へと続く襖がそっと開いた。そこは戸が閉め切られているせいか、中が殆ど見えぬほど暗い。闇の中からは眉間に皺を刻んだ男が現れた。
土方は立ったまま壁に背を預け、腕を組みながら桜司郎が去った廊下の方を見やる。
「…………普通に生きろ、か。あれだけ戦場に揉まれた奴にお前さんも残酷なことを言うぜ」
「今までは良かった。https://highforum.net/call-and-put-another-trading-4-strategies-for-long-term-investors-to-purchase-and-vend/ https://highforum.net/trade-stocks-commission-free-fxtm-global-online-trading/ https://newbacklink.com/call-and-put-other-trading-4-strategies-for-long-term-investors-to-buy-and-vend/ だがこれから先、新撰組は落日の時を迎えていく。もし捕まった時に女子だとバレたら、辱めを受けるだけだ。……それは悔やんでも悔やみきれないだろう」
「なら、どうしてそれを言ってやらない」
近藤はフッと微笑むと、目を瞑って首を横に振った。
「あの子の性格を考えても見ろ。突き放さないと、新撰組から離れようとしないじゃないか」
「……お前さんが嫌われ役になる必要なんざ無いんだぜ。そういうのは昔ッから俺の役目だったろうよ」
「嫌われるのに役目も何も無いさ。歳にばかり、そういうのをさせる自分に嫌気が差しただけだ……。今更だけどな」
そう言った近藤は、何処か吹っ切れたような様子だった。まるで数年前に浪士組として上京すると決めた頃のように、己の意志を強く感じさせる。
色々と喪って上り詰めたところから下り始めた今、やっと地に足が付いたのだろうか。
「……いつから、あいつが女だと気付いていた?」
「いつだったろう。薄々な……」
「そうか……。……済まねえ、実はそれには俺も一枚噛んでいた」
先程の言が本意でないにしろ、女であることを追放理由にされては、それを知りつつ隊に残した身としては目覚めが悪い話しだった。
バツが悪そうな表情をした土方を見て、近藤は淡く笑む。
「……それも知っていたよ」
「なッ、」
というものだろう。……お前たちがそうするのが良いと思ったことは、俺にとってもそうなのだから」
土方達がやりやすいように、あえて愚鈍な振りをしていたというのだ。やはり敵わない、と土方は瞳を伏せる。 一方で、桜司郎はまさに呆然とした様子で廊下を進んでいた。己の足が何処へ向かおうとしているのかすら、よく分かってはいない。
──荷物を纏めなきゃ。ああ、挨拶もか。
そんな頭でも、そのようにやらねばならぬことは分かる。存外に冷静な自分がいることが驚きだった。
部屋へ入ると、少なすぎる荷物をサッと風呂敷へ纏める。殆どは京の八木家へ預けてきてしまったため、直ぐに終えてしまった。
溜息すら出ない中、懐から何重にも手拭いに包まれたものを取り出す。はらりと解かれたそこからは、銀細工の簪が出て来た。
「…………沖田先生……」
甲府の戦から戻ってからは、彼にまだ会っていない。この医学所には居ないのだ。居場所すら教えて貰っていなかった。
命を賭けて行軍の足止めをし、近藤を頼むと重々に言われていたというのに、その切なる頼みすら果たせずに去ることになってしまったのだ。
あれほど性別がバレぬようにと言われていたのに、この大事な時期に露呈してしまうなど呆れられてしまうだろうか。会いたくて堪らないが、どの面を下げて行けば良いのかと目を瞑る。
その時、戸の前に人の気配を感じた。
「…………榊、居るだろうか」
ハッとした桜司郎は、慌てて簪を仕舞う。ぼんやりと滲んだ目元を拭うと腰を浮かせた。
「ど、どうぞ」
「……失礼する」
春の空気と共に旅装束に身を包んだ山口が入ってくる。
「山口さん……、その格好は。──」
ここを出て行くのかと言いかける前に、山口が口を開いた。
「副長命令でな。急遽、一足先に会津へ向かうこととなった。あんたは先行隊へ名を連ねて居なかった故、挨拶にと」
「そ、そうでしたか。会津を気にかけてらしたから、良かったですね」
「ああ。……気分が優れぬか?顔色が悪い」