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山南は北辰一刀流だ。この道場の門下生のほとんどが水戸藩士だった。
水戸の者は尊皇攘夷思想が強く、道場全体で尊皇攘夷を謳っているようなものだ。
だからだろう。山南は理屈のような尊皇攘夷を語る。
困ったなぁ。自分で聞いてなんなんですが、全く尊皇攘夷とかわからない…。
「まぁ。私は攘夷とかよくわからないんですけどね。新撰組は尊皇攘夷っていうよりも上様や松平公や一般人などを守るためにあると思うんです」
今度は山南が黙って聞く。
「攘夷志士を斬るっていうよりかは、沢山の命を奪うような不逞浪士を斬ってるんじゃないでしょうか。まぁ」
沖田は後ろに手をついて空を見上げた。
「私には上様も尊皇攘夷も関係ないですけどね。言っちゃ悪いけどどっちもあまり興味がないんです。私はずっと近藤さんに着いていくだけですから」
そう言った沖田の横顔を見て、山南もあぁ、この子はこういう子だったな。と微笑んだ。
「隊士さんにもいろいろいるんじゃないですか?尊皇攘夷を志す人や、上様を守りたい人、一般人を守りたい人や家庭を守りたい人。はたまたお金が欲しいだけの人とかね!」
沖田は山南をみて笑う。https://domoto63.blog.shinobi.jp/Entry/32/ http://jeffrey948.eklablog.com/-a216466095 https://alicia034b.cos-mania.net/Entry/117/
「まぁ。十人十色!人それぞれですからね!別に山南さんの考えは可笑しくないですよ!むしろ近藤さんに着いていくと言っているだけで人を斬りまくっている私の方が狂ってる」
沖田はおどけて笑った。
「きっとこれからも新撰組は人を斬り続けるし、私も斬り続けます。美海さんに仮病を使っているようですが、いつかはボロがでて山南さんも斬らなきゃ駄目になります」
「仮病って気づいてたのか?」
「彼女は医師ですから。でも言わなかったのはやっぱりあなたのことが好きだからだし、何か理由あってのことだろうとわかっていたからなんでしょう」
「美海くん…」
「まぁ隊士さんに仮病ってバレても彼らはあまり気にしませんよ。彼らもあなたのことが大好きですからね。皆山南さんのことが大好きなんです。だからそんな彼らのことを守るために剣を振ってると考えれば、そんなに苦じゃないでしょ?」
にっこりと沖田は笑う。
「確かにそうかもしれないね」
山南もつられて笑った。
本当に沖田は不思議な少年だ。いつも思う。
「あ!宗次郎!遊んでよ!山南さん疲れたって休憩しちゃったんだよ!」
子供が沖田に気付いたようで大声で呼ぶ。
「そうだったんですか?」
沖田はびっくりしたような顔で山南を見た。
「あぁ。ひたすら鬼をやらされてね…」
「宗次郎ー――!」
「仕方ないですねぇ」
沖田は立ち上がると下駄をカランコロンと音を鳴らせて階段を降りた。
日が落ちるまでまだ大分時間がありそうだ。
あっと沖田は言うと何かを思い出したようでクルリと振り返った。
「池田屋の後に“居心地が悪い”って言ってたじゃないですか?」
「あぁ」
「私も気付いてるんですが、やっぱり総長という立場ですかね…」
沖田は少し俯いた。
山南は黙っている。
立場的には、局長、総長、副長の順なのだが、現場の指揮などは全て副長である土方が行っている。
山南は総長という立場に祭り上げられているだけで、近藤の相談役にしかならない。ただのお飾りなのだ。
「でもね山南さん。気持ちは分かるけど、相談役は土方さんもできないことです。皆あの人の相談役なんてできませんよ!」
話が通じないんだから、と笑っている。
「だからすごいことなんですよ。局長を支えてるんだから!見方を変えてみてください。山南さんにしかできないことっていっぱいありますよ。居場所はいっぱいありますよ」
沖田はそういうと前を向いた。
「じゃあ行ってきますね!また稽古にも付き合ってくださいよ!これも山南さんの役目です」
沖田は子供達の中へ入っていった。