忍者ブログ

Alicia McKenzie's Blog

それが今の生き甲斐になって

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

それが今の生き甲斐になって

それが今の生き甲斐になっていると言っては大袈裟過ぎるが、賢き姫にとっては実に刺激的な事であり、

 

精彩に欠ける日々の中で、己の有り余った才知を活かせる唯一の時間でもあった。

 

 

 

──儂がどうしたじゃと?」

 

 

ふいに背後から、聞き慣れた高い声が響いた。https://debsy12.blogspot.com/2024/07/blog-post.html http://eugenia22.eklablog.net/-a215973061 https://carinadarling.wordpress.com/2024/07/01/%e3%80%8c%e3%81%9d%e3%81%ae%e7%9f%ad%e5%88%80%e3%81%af%e3%81%aa%e3%81%8b%e3%81%aa%e3%81%8b%e8%89%af%e3%81%84%e5%88%83%e3%82%92%e3%81%97%e3%81%a6/

 

濃姫は瞬時に顔を上げ、そっと振り返ると、縁台の袂に、真新しい弓を手にした信長が昂然と立ち尽くしていた。

 

「これはっ」と、慌てて濃姫や侍女たちが平伏しようとすると

 

「礼は良い──。それよりも、退屈云々とは何の話じゃ?」

 

訊きながら信長は姫の前に歩み寄った。

 

「いえ、何でもございませぬ。殿のお側にいると面白き事が多い故、退屈する暇がないと、そう申していただけです」

 

事実ながらも、濃姫がどこか取り繕いがちに言うと

 

「ならば良い。尾張が退屈になった故、美濃に帰りたいなどと言われては困る。

儂にとってそちは、大事な存在じゃからな」

 

信長は真剣な面持ちで告げた。

姫は一瞬ときめきを覚えたが

 

「そなたは、いずれ儂が美濃を我が物にする為の大切な布石。そちが側におらねば、蝮殿から美濃を譲り受ける大義名分が立たぬ故な」

 

「また左様な意地悪を申される」

 

濃姫は軽く両頬を膨らませた。

 

「何、感謝はしておるのじゃぞ。そちが嫁してくれたおかげで、儂は蝮殿という強力な後ろ楯を得たのじゃからな。

 

──ま、いつ毒牙を向けて来るか分からぬ、油断ならざる後ろ楯じゃがのう。はははっ」

 

そう言って高笑いする夫の前で無神経なお人と、濃姫は俯きがちに緩くかぶりを振った。

 

 

「左様な事より、殿。何かご用があられた故、こちらへ参られたのでは?」

 

濃姫が気を取り直して訊くと

 

おお、これはしたり」

 

と信長は左の太股を軽く叩いた。

 

「お濃。そちは兎、猪、鴨の内ならば、いずれを好む?」

 

「何のお話でございましょう?」

 

「良いから。いずれを好む?」

夫の真摯な眼差しが注がれると、濃姫はふいに

 

もしやこれも、私をお試しになっての事であろうか

 

と思い、これは迂闊に返答出来ぬやもと警戒した。

 

しかしいつまでも黙している訳にはいかず

 

兎でございましょうか」

 

仕方なく思うがままに答えた。

 

「ほぉ、兎か」

 

はい」

 

「となると、一羽ではちと足りぬのう。少なくとも二、三羽は捕らえねばなるまい」

 

「捕らえる!?

 

 

まさか、兎を敵方に例えているのか?

 

ならば、誰ぞを捕虜にでもしようとしているのかと、濃姫は険しい表情で信長を見上げた。

 

 

「応よ。今から森へ行って狩って参る。猪ならば一蹄で十分じゃが、兎であれば数羽は必要であろうからな」

 

「殿、いったい何のお話をされているのです?」

 

「今宵の夕餉の話じゃ。久しぶりに鍋など食してみとうなってのう。兎か猪か鴨か、獲物は何が良いかと思うて」

 

濃姫は思わず額に手を当てた。

 

変に深読みし過ぎた自分にも問題はあるが

そんな妻を他所に、信長は得意満面で

 

「これを見よ。以前使っていた弓がすっかり草臥れてしもうた故、新しき物を拵えさせたのじゃ」

 

黒漆が艶やかに光る塗籠籘の弓を姫の前に差し出した。

 

「通常の物よりも五寸ほど長う作らせ、弦(つる)も以前より丈夫で張りのある物に致した。今度のは勢いが違うぞ、勢いが!」

 

早くこれで狩りがしたいものだと、信長は笑いがらビュン、ビュンと何度も弦を引いては放しを繰り返した。

 

濃姫はそんな信長を見ている内に

PR

コメント

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

カテゴリー

P R