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がった光秀は、家臣たちと共にひたすら前だけを見据えて進んで行く。
雨をにある本経寺という寺院の、裏手にあるに差しかかった。
「殿、お疲れにございましょう。が手綱を引いております故、少しおを休め下さいませ」
茂朝が気遣いがちに言うと
「何を言うておる。そなたたちの方こそ歩き通しで疲れたであろうに」
「いえ。某はまだ四十路です故、体力の方はまだまだ自信がございますので」
「何じゃ。そなた、儂を老人扱いするつもりか?」
「そ…そんな、滅相もないっ」
「ははは、冗談じゃ。そちの気遣い、嬉しく思うぞ」https://mathewanderson.blog-mmo.com/Entry/23/ https://mathewanderson.ni-3.net/Entry/8/ https://carinaa.animegoe.com/Entry/8/
光秀は少年のようなな笑顔を浮かべて、家臣たちと小さく笑い合った。
こうして冗談を述べていると、いつもの帰りの道中と同じ感覚になる。
信長からの期待と圧力に心をすり減らしている時でも、こうして家臣たちと冗談を言い、笑い合っている時は心がんだ。
今もそうだ。
疲労と傷心、降り止まぬ雨に濡れて、身も心もぼろぼろであったが、彼らと笑い合っているだけで気持ちが安らぐ。
自分は一人きりではないのだと教えてくれる。
光秀は、最後まで自分に付いて来てくれたこの忠臣たちに、心の底から感謝しているのであった。
「──さぁ、少し急ごう。このままでは坂本の城に着くまでに風邪を引いてしまうぞ」
「──はい、殿」
光秀の言葉に茂朝たちが軽く頭を下げていた、その時だった。
「ぐぁ…ッ」
ふいに列の後方から、小さな断末魔のような声が響いたのである。
何事かと思って光秀や茂朝らが振り返ると、最後尾を歩いていた家臣の一人が、雨でぬかるんだ地面の上に倒れていた。
その家臣の背中には、長いが一本、深く突き刺さっている。
「 ! 」
それを見た光秀たちが、あっと驚きの表情を浮かべるやや
「落武者じゃー!落武者じゃー!!」
横の竹藪の中から、百姓と思わしき身なりの男たちが、それぞれ竹槍やを手に、慌ただしく一行の前に現れた。
光秀は彼らを目にするなり、この当時 盛んになっていた “ 落武者狩り ” の男たちであると確信した。
彼らはあっという間に光秀たちを取り囲むと
「俺たちの暮らしがいつまでたっても豊かにならねぇのは、おめぇら武士たちのせいだ!」
「武士なんぞ疫病神じゃ! 大人しゅうくたばれッ!」
と、怒声を上げながら襲いかかってきた。
「と、殿!お逃げをー!」
茂朝が声の限りに叫んだ、まさにその瞬間
「…ッ!!」
一本の竹槍が、ドッとい音を立てて馬上の光秀の脇腹を突いたのである。
光秀の満面がきつくんだのと同時に、彼は馬の背から崩れるように地に落ち、そのまま意識が遠のいていった──。
光秀が再びその眼を開いたのは、それから近く経ってからのことだった。
気が付いた時には、先ほどの竹藪ではなく、どこかの奥深い森の中にいた。
「あぁ──殿!お気が付かれましたか!」
積んだ枯れ葉の上に寝かせられていた光秀が、ふと真横に目を向けると、ほっとした表情の茂朝の顔があった。
その背後には二名ほどに減った家臣たちの姿もある。
「…儂は…いったい…」
と光秀がを起こそうとすると、脇腹にい痛みが走った。
光秀は苦痛に顔面を歪めながら、再び枯れ葉の上に倒れ込むと、瞬間的な強い痛みが抜けるのを待ってから
「…いったい、儂は…どうしたと…」
細い声で茂朝にねた。
「覚えておられませぬか? 落武者狩りの百姓らに襲われたのでございます」
落武者、百姓という単語を聞き、ぼやけていた光秀の記憶が徐々に鮮明になってゆく。
「……ああ、…そうか。…そうであったな」
「殿は竹槍で脇を突かれて落馬し、そのまま意識を失われましたが、我らも刀を抜いて応戦し、百姓らをらしましてございます」
それを聞いた光秀は、ぐっと眉根を寄せる。
「よもや百姓らを、殺めたのではあるまいのう!?」
「…え」
「殺めてはならぬぞ! あの者たちとて、本来ならば我らが守るべき民たち……。命をうてはならぬのじゃ」
「…殿」
自分を殺そうとした百姓たちを案ずる光秀の心根の清さに、茂朝は胸を突かれるものがあった。