[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「ご安心下さいませ。争っている内に腕やなどに浅傷を負わせてしまいましたが、あの百姓らは 生きておりまする」
「左様か──何よりじゃ」
「…ただ、こちらの兵が数名、死に絶えましてございます」
「……」
光秀は言葉を失い、やがてその瞳にじわりと涙をませた。
また自分のせいで仲間を死なせてしまった…。
何と罪深い存在なのだろうかと、光秀は自身を責め、そして恥じた。
戦のない世を目指しながらも、今の自分には、もう目の前の家臣すらも守ってやれないのだ。
「可哀想なことを…、済まないことを致した…」
涙ぐむ光秀は、せめて死した家臣たちの為に手を合わせてやりたいと思い、痛みに耐えながら上半身を起こした。
ところが、起き上がった途端に意識がとし、気が遠のいてゆく感覚に襲われた。
「殿!しっかりなさって下さいませ!」https://mypaper.pchome.com.tw/mathewanderson/post/1381849955 https://mathew.anime-voice.com/Entry/7/ https://mathew.cosplay-navi.com/Entry/7/
倒れそうになる主君の身体を抱きとめ、茂朝は叫んだ。
脇腹に受けた傷が致命的となったのか、穴の空いた風船のように光秀の全身から力が抜けてゆく。
光秀は薄く目を見開き、浅い呼吸を繰り返すと
「…茂朝…。儂は…もう駄目やも知れぬ…」
自身の死期を悟ったように呟いた。
「何をせになられまする! 死んではなりませぬ!死んではなりませぬぞ!」
必死の表情で訴える茂朝の、その腕を掴んで
「……茂朝、…頼みがある」
と、光秀は弱々しく告げる。
「自刃致す故、そなたに…、を頼みたいのだ」
「 !? 」
「…秀吉殿に首を差し出す覚悟であったが、…やはりこの首は、そなたらの手でり落としてもらいたい。 ──儂が信頼する、そなたたちの手で」
「し、しかし…」
「頼む」
主君の力強い願に、茂朝は涙を浮かべるものの、首を縦に振ることは出来なかった。
背後の家臣たちも光秀との別れを惜しみ、っている。
しかし光秀本人の思いは強く、最後の力を振り絞って上半身を起こすと、腰のしに手を伸ばした。
とする意識と闘いながら、光秀は刀を自分の前で弱々しく構える。
「…殿…」
最後まで武士であり続けようとする光秀の姿に心を動かされたのか、茂朝は静かに光秀のらに立つと、自らの太刀を抜いた。
もはや彼が光秀の為にしてあげられることは、それだけしかなかった。
光秀がろな瞳で、構えている刀の切っ先を見つめていると
『 ……何という光栄。帰蝶様、いらしてくれたのですね 』
本能寺襲撃の折に見た蒼白い蝶が、刀の上にとまったのである。
光秀の瞳にしか映らない、あの蝶が。
『 美濃へお帰りになったと思うておりましたが、この光秀の為に、待っていて下されたのですね── 』
蒼白な光秀の顔に、柔和な微笑が広がった。
『 帰蝶様、あなた様と信長様を殺めてしまった罪は、の命をもっていまする。
…故に一つだけ、願いを聞いて下さいませ。某は極楽へ行けるかどうか分かりませぬ故、某に代わってにお頼み下され。
“ 民たちがいつでも笑って暮らせるような、戦のないの時代を、いつか世にもたらして下さいませ ” …と 』
その願いさえ叶うのであれば、他にはもう何も望むことはない。
光秀は蝶に向かって、心の声で語りかけると、そっと両眼を伏せて
「…さらばじゃ」
と呟くなり、刀を握る手にぐっと力を込めて、自分の腹に突き刺した。
主君の背が苦しげに丸まってゆくのを見た茂朝は、涙を流しつつ太刀を振り上げて、断腸の思いでそれを光秀の首に目掛けて振り下ろした。
ヒュン…と、風を切る音が響いたのと同時に、あの蒼白い蝶は天空へと舞い上がっていった。
いつしか雨はやみ、灰色の雲の間から、