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、光秀殿の消息が完全に途絶えておりました故、常々案じておりました。
居城であった明智の城は、義兄・義龍の軍勢によって攻められ、炎上致したと聞いておりましたので」
「ご心配をおかけし、まことに申し訳ございませぬ」
「これまでどうなされていたのです?」
「道三様の元を離れた後は、妻のや従弟の秀満らと共に、あてどもなく諸国を巡っておりました。
武者修行をしながら次なる仕官先を探し、三十路も半ばという頃になってようやく、鉄砲の腕が買われ、今の朝倉家に仕えることが叶うたのです」
「左様でございましたか。ではさぞや、言い難いご苦労をされて参ったことにございましょう」
「はい…。仕官先が見付かる前などは特に。のせいで妻は美しい黒髪を売るはめになり、ほんに申し訳ない限りでござった」
「ま、熙子様がを !?」
「貧困の生活を送っていた頃、家で連歌会を催さねばならぬことになったのですが、客人に振る舞う酒も料理もなく、
某が途方に暮れていると、熙子が『 ご安心下さいませ 』というて、当日、どうやって用意したのか豪華な食膳や酒を用意してくれましてな」
「…まさかその食膳、自らの御髪を売ったお金で?」
「お察しの通りにございます。熙子は、おなごにとっての命とも言える黒髪を売ってまで、某の面目を保ってくれたのです。https://debsy12.blogspot.com/2024/08/blog-post.html https://www.tumblr.com/debsyking/759340230769852416/%E6%B2%A1%E9%94%99%E5%9C%A8%E9%87%8D%E8%A6%81%E8%B0%88%E8%AF%9D%E5%89%8D?source=share https://site-5818960-5564-8265.mystrikingly.com/blog/bd3f60261f7
あの者には足を向けて寝られぬどころか、申し訳のうて、未だにの一人も置いてはおらぬ程にて」
「まぁ、それは何とも素晴らしいこと」
“ どこぞの誰やらにも聞かせてあげたい ” と、濃姫は沁々と思った。
「なれどそのような美しい思い出も、今こうしてお濃様にお会い出来たのも、全ては道三様のおかげにございます」
「父上様の?」
「ええ。あの長良川の戦の折に、道三様が言うて下さったのです。 “ この道三の死を見届けた後は、好きに致せ ”、
“ 一人逃げるも良し、降伏し義龍の側に付くも良し──好きなように生きるが良い ” と」
「…父上様が、左様なことを」
「無論、某は最後まで道三様のお側にて、共に戦う所存にございましたが、それでも一つだけ、夢があったのでございます」
「夢?」
「あの頃の某は、未だ美濃しか知らぬ無粋者にございました。故に諸国を巡り歩き、様々な人と土地に触れ、
己が本当に成し遂げたきことを見つけたいと思うていたのです。 そんな某の夢に、道三様は眉をひそめるどころか、
“ 儂が死したらすぐに美濃から出奔致し、その願いを叶えよ ” と、笑うて仰せ下されたのです」
「それが、今があるのは父上様のおかげと仰せられた由縁なのですね」
「御意にございます。 ──某の諸国巡りは、ある意味で言えば、己の主君探しの旅でもございました。道三様と同等、
欲を申せば、それを超える御志を持たれた主君に仕え、某がようやっと見付けた目標を、そのお方ので成し遂げたいと」
「それはいったい、どのような目標なのですか?」
「綺麗事とお笑いになられるやも知れませぬが……戦の世を終わらせ、泰平の世を作ることにございます」
やおら光秀の双眼が、少年のように生き生きと輝き始めた。
「戦乱の世を一日でも早よう終わらせて、誰もがんじて暮らしていける、穏やかな世を作りたいのでございます。
諸国を巡り、飢えに苦しむ民や、無益な戦によって両親を失った子供たちを嫌という程見て参りました。
そのような者たちの悲しみ苦しみの声を聞く度に、胸の奥が詰まり、何とか今の世を変えねばならぬと強く思い及んだのでございます」
「──ほんに、その通りにございますな」
そんな光秀の話を聞き、誰よりも深く首肯したのは三保野だった。