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「何じゃと…。 その方、今何と申した?」
光秀ははっとなり、慌てて抵頭する。
「お、お許し下さいませ! 無礼な真似を致しました」
「無礼は許す。 ──許す故、今言いかけたことの先を申せ」
「……」
「如何した?早よう」
「光秀殿。お話し申されよ」
藤孝に促され、光秀は恐縮しつつも、ゆっくりとした口調で語り始めた。
「まことに畏れながら、更なる法の引き締めが肝要かと存じまする」
「引き締め?」
「国が常に法のにあるように、人も常に法の下にございます。それが時にきつく、時に緩くなることによって、人は耐久を覚え、
やがて従う心を強く持つようになるのでございます。その法が中身のあるものであれば、民とて甘んじて従いましょう」https://carinadarling1.wordpress.com/2024/08/09/%e3%80%8c%e5%bf%85%e8%a6%81%e3%81%aa%e7%89%a9%e3%81%ae%e6%ae%86%e3%82%93%e3%81%a9%e3%81%af/ https://nouw.com/debsyking1/empty-38567787 https://www.deviantart.com/debsyking/status-update/--1088985563
「言うている意味がよう分からぬが」
「例え厳しき法でも、それが己にとって有益なものならば人は従うと申しているのでございます」
「ならば如何なる法を布けば、この難題を解決出来るというのじゃ?」
信長が問うと、光秀は視線を下げ、数秒間考えを廻らせると
「盗みを働く輩を捕らえ、ことごとく断罪致せばよろしいかと」
これでもかというような真面目顔で答えた。
それを聞き、重臣の例にいた勝家が鼻で笑った。
「何を申すかと思えば。左様なことが易々と出来るならば、誰も苦労などしておらぬわ。
奴らとてではないのじゃ。取れば逃げて身を隠す。なかなか捕らえることが出来ぬ故困っておるのではないか」
「ですから、捕らえようと致すから断罪出来ぬのでございます」
「は?」
「掏児も盗賊も、盗みを働いた者はその場で速やかに斬り捨ててしまえば事は簡単にございましょう。…いいえ、寧ろ、
国の治安を守ることを考えるのであれば、例え盗んだのが一銭(一文)であろうとも、即座にお斬りになるべきかと」
光秀の進言を聞き、勝家は思わず笑い声を響かせると
「なるほど、名案じゃ。一疋、一結ならばいざ知らず、一銭で人を斬るか。
それが罷り通れば、確かにこの世から盗人は誰もいなくなるであろうのう」
また一頻り笑い声を響かせた後、勝家はキッと光秀を睥睨した。
「戯けが!たかだか一銭盗まれる度に斬り捨てておったら、いずれ城下から人がいなくなってしまうわ」
「それでも仕方のなきことにございましょう。例え僅かな銭でも、窃盗という罪を犯したのは事実なのですから。
一銭という金の裏に、それを稼ぐ為に費やした民たちの汗と労を考えれば、一銭斬りも決して重い処分とは言えませぬ」
「その方!何をぬけぬけと!」
「──待て勝家」
信長の制止声がかかり、勝家は浮かせかけていた腰を再び沈めた。
「確かに悪い考えではない。一銭でも人から掠め盗ることで、先に死が待っていると念頭にあれば、咎を犯そうとする者も減るであろう」
「されど殿…!」
「それによって処罰される人間が出たとしても、街の治安が保たれ、今にも増して商業が盛んになれば、
こちらへ移り住みたいと望む者共が他国から押し寄せ、岐阜は更なる発展を遂げるやも知れぬ」
そうなれば言うことはないと、信長は光秀に向かっていかけた。
「大胆な案じゃが面白い。検討致してみよう」
「…か、忝のう存じます」
思わぬ返答に光秀は戸惑いながらも、慇懃に頭を下げた。
勝家も不服そうな面持ちながらも、場を弁えてか、静かに引き下がった。
「──さて、前置きが長ごうなったが、此度は義昭様より直々に仲介役を任された由、まことに大儀である。明智十兵衛光秀」
「…ははっ、畏れ入り奉りまする!」